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第15回兵庫若駒賞

苦しい展開も着差以上の強さ
  単勝元返しでデビュー3連勝

過去の優勝馬にはオオエライジンやトーコーヴィーナスなど、のちに全国区で活躍した馬が名を連ねる兵庫若駒賞。今年もここからの飛躍が楽しみになる1頭が出現した。

みなの熱視線の先にいたのはベラジオソノダラブ。デビュー前の能力検査から古馬相手に悠々と先着し、坂本和也調教師は「こんなすごい2歳馬ははじめて」と胸を高鳴らせた。期待通り、デビュー戦、2戦目と自ら早めに動くと、直線は持ったままで2着以下に大差をつける圧勝劇。これを見せられては、ファンの期待が単勝1.0倍というオッズに表れたのも当然と言えるだろう。

しかし、他馬が付け入る隙が全くないというわけでもなかった。これまでは逃げか2番手外からのレースのため、多頭数で内枠の今回は揉まれたり砂を被って嫌がる可能性も考えられたし、中1週とやや詰まった間隔でもあった。

相手筆頭に推されたのは2連勝中のアルザード。逃げても控えても競馬ができる馬で、2番人気の単勝8.9倍で、単勝100倍を超える馬が12頭中4頭と、極端なオッズとなった。

それでもやはり、ベラジオソノダラブの強さが光るレースだった。やや立ち遅れ気味のスタートとなり、初めて馬群からレースを運ぶことになったが、勝負所で外に出されると、先頭に立っていたアルザードを4コーナーで一瞬のうちに交わし去った。直線では1頭になって少しフワフワしたため、これまでの2戦のように大差をつけはしなかったが、大外から差してきた2着ジョイブラックに半馬身という着差以上の強さを見せて勝った。3着にはアルザードが粘った。

レース前は「緊張よりも、どんなレースになるかドキドキわくわくしています」と話していた坂本調教師は柔和な笑顔で勝った人馬を出迎えた。田中学騎手は「中1週でちょっとイライラしていたのもあるのかなと思いますが、それにしてもスタートの出が良くなくて馬に申し訳ないです。砂を被っても嫌がるということはなかったです」と話し、初めての経験でもしっかり対応した。

2着ジョイブラックはお尻に盛り塩をしてパドックに登場し、陣営の自信と期待のほどが感じられるようだった。大山真吾騎手は「小柄ですけど、体のバランスのいい馬です。今日は勝ち馬の後ろでずっと待っていて、よく伸びてくれたんですけど」と悔しがった。

3着アルザードの廣瀬航騎手は「マクられるのが嫌で、早めに動いて自分で展開もペースも作っての結果。操縦性のある馬なので、距離が延びれば逆転する可能性もあるんじゃないですかね」と、勝ち馬を意識しながらのレースだった。

レース後は約2年半ぶりとなる表彰式が西ウイナーズサークルで行われた。この日は第6レースで3頭が絡む落馬事故があり、杉浦健太騎手が腰を踏まれて病院へ搬送。笹田知宏騎手は落馬直後は意識不明だったとのことで、表彰式に集まったファンの中には心配した人も多かっただろうが、夕方には意識が戻ったことや骨折等もないことが伝えらえた。

ベラジオソノダラブの次走はオーナーと相談の上、決めるとのこと。全国で戦っていくことになれば、ここからさらなるパワーアップも求められるだろうが、兵庫を代表する座はこの1戦で手に入れたとも言えるだろう。

取材・文大恵陽子

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

田中学騎手

今まで逃げ・先行だけだったので、今日は力んだ走りになりました。道中で他馬と接触して苦しいレースでしたが、根性があり能力だけで勝ちました。追い切りも含め、これまでムチを入れたことがなく、今日初めて使ったんじゃないかなと思います。ゆくゆくは距離も克服してくれると思います。

坂本和也調教師

前走後は体重の減りが少なく、大きな馬体重の増減なく臨めました。ここまで後方からの競馬になるとは思っていませんでしたし、勝負所でフタをされた場面もありましたが、今回の経験は大きな価値があります。追い切りでしっかり追ったことがなく、さらに変身する可能性を秘めています。