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第7回金沢シンデレラカップ

断然人気にこたえ押し切る
  地元無敗で川崎を目指す

首都圏や関西では秋分を過ぎても暑さが厳しく、なかなか冷え込むことがなかったが、この日の金沢市内は秋めいた一日。薄手のニットでは日中でさえ肌寒く、金沢競馬がシーズンクライマックスへ向かっていることが感じられた。

グランダム・ジャパン2歳シーズンの一戦・金沢シンデレラカップは地元生え抜きのショウガタップリが人気の中心。単勝1.4倍で1番人気に推された。3.0倍で2番人気は門別で2勝のキモンアップル(北海道)。3番人気のフィリピーヌ(大井)以下は10倍を超えるオッズとなった。

スタートはフィリピーヌが立ち遅れたものの、他の7頭が五分のダッシュを決め、キモンアップルが馬群を率いた。ショウガタップリは先行勢の一角で、馬群の中でレースを運んだ。

2番手外につけたミオソフィア(金沢)が3コーナー付近から動き、先行勢もそれに続く中、際立った脚を見せたのはショウガタップリ。4コーナーでキモンアップルと外のミオソフィアの間にわずかなスペースを見出すと、一瞬のうちに抜け出した。直線ではキモンアップルが再びハミを取って盛り返したが、呼応するようにショウガタップリももうひと伸びを見せ、3/4馬身差で勝った。3着は中団から差したカタラ(兵庫)、4着にミオソフィアが粘った。

ショウガタップリは金沢でデビューし、これが無敗の6連勝目。ここまでの5勝は逃げや番手の外からのレースだったのが、初めて馬群の中でレースを運び、しっかりと勝利を収めた。これまでは沖静男騎手が手綱を執ってきたが、「地方全国交流レースで、今日はジョッキー戦になる予感がして、矢野貴之騎手に依頼しました」と高橋俊之調教師。続けて「今回も沖くんが仕上げてくれました。地元馬同士のレースではまた乗ってもらおうと思います」と話すと、口取り撮影に主戦を呼び込んだ。なお、沖騎手は疾病のためこの日は全レースで騎乗変更となっていた。

「高橋先生からの依頼だったからこそ、金沢に来ました」と、矢野騎手はとりわけ嬉しそうな表情。それもそのはずで、彼が騎手候補生をしていた時から高崎競馬場(廃止)で高橋調教師に可愛がってもらっていた。「また初心に帰りました」という言葉がその思いを表しているだろう。

2着キモンアップルの吉原寛人騎手は「1周物見をしながら走っていました。現状ではワンターンの短距離の方が集中して走れるのかもしれません」と、初のコーナー4回がポイントだったよう。3着カタラは400キロ前後の小柄な牝馬ながら「勝負根性がありますね」と廣瀬航騎手は力を再確認した。

勝ったショウガタップリは「無敗で(川崎の)ローレル賞に行くことを視野に入れています」と高橋調教師は目を輝かせた。地元から生まれたヒロインは“賞がたっぷり”という馬名に似合う活躍を目指し、歩んでいく。

取材・文大恵陽子

写真早川範雄(いちかんぽ)

Comment

矢野貴之騎手

20年前に高崎でデビューした時からお世話になっている高橋調教師の馬で勝てて嬉しいです。結果にこだわらず、馬に勉強させたいと思っていて、上手に走ってくれました。これからトモがパンとすればもっと走れる馬だと思います。金沢にはなかなか来られませんが、また応援していただければと思います。

高橋俊之調教師

直線で差し返されたと思ったら、もうひと伸びしてくれました。どこからこんな力が出るのかと思うくらい信じられない馬です。調教では元気いっぱいで、特別なことはしていません。2歳のわりにソエなど痛いところもなく、調子よくこられています。次走は川崎のローレル賞を視野に入れています。