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第25回エーデルワイス賞JpnIII

ゴール前一気に差し切る
  人馬ともに重賞初勝利

好天に恵まれた門別競馬場のとねっこ広場のテントには人だかりができていた。盛岡競馬場名物、元祖ジャンボ焼鳥の出張販売だ。先日、ダービーグランプリ当日の盛岡競馬場では、門別競馬場から、いずみそばの出張販売があったが、交流レースだけでなく、競馬場の名物が交流するというのもファンにはうれしい。

エーデルワイス賞JpnIIIは、地元北海道勢が近5年連続、過去10年でも7勝と圧倒的に優勢。今回もここまで5戦4勝でフローラルカップ、リリーカップを連勝して臨んだスティールグレイスが単勝1.9倍という期待を集めた。ところが、中団を進んだスティールグレイスは3コーナーで急激に失速。鞍上の桑村真明騎手が馬を止めるような感じで競走中止。残念ながら左前肢第3中手骨骨折という診断だった。

素早いダッシュを見せたのはエコロアイ(JRA)だったが、内から行く気を見せた地元のキューティロメラが先頭に立つと、エコロアイは控えて2番手。3番手に地元ライトニングブルーで、そのうしろにJRAの3頭が続いた。

4コーナーで先頭に立ったエコロアイが直線を向いて後続を振り切り、そのまま押し切る勢いに見えた。しかし直線半ば過ぎ、外から一気に伸びたのがマルカラピッドで、並ぶ間もなくエコロアイを交わし去ると2馬身半差をつけて完勝。4コーナーでエコロアイの直後につけていた2番人気トモジャミが1馬身差で3着に入った。JRA勢のワンツーは2005年以来17年ぶり、上位3着まで独占は1998年に第1回が行われて以来初めてのこととなった。

勝ったマルカラピッドは、芝のデビュー戦こそ最下位だったが、2戦目の中京ダート1200メートルの未勝利戦から連勝でダートグレード勝利。殊勲の鞍上は、これが重賞初制覇となったデビュー2年目の小沢大仁騎手。「うしろがどれくらい離れているか確認する余裕もなかったので、ただがむしゃらに最後まで追っていました。まだ経験の少ない自分にこういう大きなチャンスをくださった今野先生のところで勝つことができて、たくさん乗せていただいているオーナーの日下部さんの馬で重賞を勝つことができてすごいよかったと思います」と、若者らしいフレッシュなインタビューが印象的だった。

管理する今野貞一調教師も開業12年目で中央・地方通じての重賞初勝利。「ダート適性は高いと思いますので、距離がもう1ハロン上手に走れたらと思います。次は園田の交流重賞(兵庫ジュニアグランプリJpnII)が目標になるなと思います」とのこと。

マルカラピッドの父は、ドバイゴールデンシャヒーン連覇などダート短距離でGI・3勝のマインドユアビスケッツ。その初年度産駒としても重賞勝利第1号となった。

2着エコロアイの武豊騎手は「アメリカ産で右回りも初めてだったのでコーナーでは外に張り気味でした。最後まで止まってないんだけど、勝ち馬のほうが伸びていました。ただダート1200は一番力を出せる舞台です」と期待も語っていた。

取材・文 斎藤修

写真 浅野一行(いちかんぽ)

Comment

小沢大仁騎手

今回初めて馬群の中で競馬をする形になって、砂をかぶったらどうかと思いましたが、前半は嫌がるところもあったんですけど、それでも下がらずにがんばってくれましたし、外に出したらしっかり反応してくれました。一戦一戦強くなってきてくれて、これからもっと成長してくれると思います。

今野貞一調教師

芝の初戦は集中しきれない部分もあって走れませんでしたけど、フットワークからダートのほうが適性が高いだろうということで、2戦目からダートを使いました。ダート初戦はスピードと脚力の違いだけで勝ったのですが、今日は砂をかぶって好位から抜け出して、いい内容の走りができたのが収穫でした。