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第68回平和賞

好位から余裕で抜け出す
  目指すは2歳ダート王

今年で68回を迎えた船橋競馬場伝統の一戦、平和賞。11頭と少頭数になったが、単勝10倍以下が5頭と人気は拮抗した。1番人気は3.0倍で北海道のグロリオサ。父が新種牡馬インカンテーション、半兄に南関東の重賞ウイナー・セイカメテオポリスがいる血統。さらに、サベージ、ハーモニーロワ、スーパーファルコン、プルタオルネが続いた。

混戦に終止符を打ったのは、本橋孝太騎手が初騎乗した5番人気プルタオルネ。北海道のJRA認定フレッシュチャレンジを制してからは、重賞、距離延長、JRAの芝と、常に挑戦をしてきた馬だ。10月の盛岡・知床賞はざ石により出走を取り消したが、その後は平和賞に切り替えて調整を行ってきたという。

これまでは後方から脚を伸ばす競馬をしてきたが、この日はいつもより前目のポジションから、楽な手応えで外の3、4番手を追走。

「中団くらいに行ければという話でしたが、思いのほかゲートも出てくれたのであの位置になりました。道中はハミを取ってみたりやめてみたり、まだ子供っぽいところがありましたね。2歳馬はそんなにカーッとさせてもいいことはないですし、競馬を見ていると終いは絶対に来ると思ったので、無理に追いかける必要はないと思って、向正面では抜きながら走らせました」と本橋騎手。

3コーナーでスーパーファルコンが、逃げていたサムタイムアゴーに並びかけると、追いかけるプルタオルネは単独3番手に上がり直線へ。「遊んでいた分、追えば追うほど伸びるっていう感じで、余力はまだ全然ありました。抜くところは抜いて、直線で脚を使えるのがいいところですね」

残り200メートルあたりからステッキが入ると、直線で先頭に立ち押し切ろうとしていたスーパーファルコンを一気に抜き去り、最後は手綱を抑える余裕を見せてのゴール。勝ちタイムは1分46秒3(良)。

2馬身差がついての2着争いは、中団後ろから脚を伸ばしてきたグロリオサが制し、ハナ差の3着は内をついたガンモヘラクレス、アタマ差の4着がスーパーファルコンだった。

プルタオルネを管理する小国博行調教師は、騎手時代に上山競馬とホッカイドウ競馬に所属し2093勝をあげた名手。2011年の川崎・鎌倉記念をニシノファイターで勝っているが、調教師としては南関東での重賞初制覇。

「船橋競馬場は上山時代から冬期間に乗りに来ていたので縁があります。こうやって勝たせていただけたのはとてもうれしいですね」と小国調教師。この馬の調教も自らが乗り、担当は息子の巧厩務員。親子での重賞勝ちとなった。

この後は12月14日の川崎・全日本2歳優駿JpnIに向け、門別競馬場の坂路で再びトレーニングを続けていくそうだ。

取材・文高橋華代子

写真国分智(いちかんぽ)

Comment

本橋孝太騎手

僕がミスジョーカー(2008年東京シンデレラマイル)で初めて重賞を勝った時、ちょうど船橋にいて祝勝会に来た小国さんが、普段は飲まないお酒を飲みながら「うれしいなぁ」って言って一緒に喜んでくれたことにすごく感動したのを覚えています。今日は勝ててうれしいです。思い出にもなりました。

小国博行調教師

中央(クローバー賞・9着)に行った時はゲートが悪くて再検になり、地方はスタートで尾っぽを持てるのはいいと思います。1800メートルも走ったことはありますが一瞬の脚は使うけど止まるので、現状では1600メートルが一番合うような感じがします。(本橋騎手は)ベテランだし、レースは任せました。