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第7回黒潮ジュニアチャンピオンシップ

先行2頭による直線追い比べ
  國澤厩舎の伏兵がワンツー

高知競馬でサラブレッドの2歳新馬戦が再開された翌年に創設された黒潮ジュニアチャンピオンシップ。第7回を迎えた今年はさらに進化し、準重賞の潮菊特別が新設されて当レースの前哨戦的な位置づけとなった。

潮菊特別出走組は12頭中7頭。そこを8馬身差で圧勝するなど3連勝中のユメノホノオが単勝1.1倍の圧倒的人気に支持された。潮菊特別組は勝負付けが済んだとの見方からか、2番人気は別路線からのエムティドン。ところが、この日の高知の砂に2頭は泣かされることとなる。

スタートから気合いをつけて先手を取りに行ったのはマリンジェミナイ。軽快に逃げて、2番手に同厩舎のハチキンムスメが続いた。

人気のユメノホノオは中団につけたが、砂を被って1コーナーでやや後退。エムティドンは砂の深い内枠からでダッシュがつききらないことに加えて砂も被り、こちらも縦長の中団からとなった。

この2頭が向正面から一緒に追い上げを開始したが、先頭まではまだ遠い。それを尻目にハチキンムスメが4コーナーで先頭に並びかけ、直線をいっぱいに使った追い比べを制して勝利。半馬身差2着に逃げ粘ったマリンジェミナイ。2馬身半差がついて3着にシュペールミミで、追い込んだユメノホノオとエムティドンはそれぞれ4着と5着だった。

管理馬ワン・ツーとなった國澤輝幸調教師は「前走でユメノホノオに負けたので、イチかバチかでしっかり鍛えました」とハチキンムスメでの勝利を喜んだ。鞍上の上田将司騎手は先月の園田チャレンジカップでの8年ぶりの重賞制覇に続き、久しぶりの地元重賞タイトルで、「馬が頑張ってくれました」と謙虚に答えた。

敗れながらもやりきった清々しさが感じられたのは2着の妹尾浩一朗騎手。「他の騎手が乗った前走は控えて7着だったのを見て、絶対に逃げようと思っていました」と、好走時と同じ戦法に転換した。「3コーナーから手応えがなかったです」という中で、しっかり粘り腰を見せた。

1番人気に推されたユメノホノオは「砂を被ってダメでした。今日は全然走っていません」と郷間勇太騎手。前走は3番手内からレースを運んだのだが、逃げた馬より少し内に入れて砂を被っておらず、今回が初めての経験だった。そういったこともあるのが2歳戦。「能力はあるので、これから成長してくれると思います」と巻き返しを誓った。

このあと、高知で行われる2歳重賞は12月28日の金の鞍賞。ここからさらに成長を遂げた若駒たちはどんなレースを見せてくれるだろうか。

取材・文大恵陽子

写真早川範雄(いちかんぽ)

Comment

上田将司騎手

前走で砂を被っても平気だったので、今日は後ろからのイメージでしたが、予想より前で競馬ができました。勝負所で手応えに余裕があって、4コーナーで逃げ馬は交わせると思いましたが、意外と相手も粘りました。この馬は「娘」というより「姉さん」。従順で、手前も自分で替える優等生で古馬のようです。

國澤輝幸調教師

これまではゲートに課題があったので、あまり食べさせることができませんでしたが、最近はだいぶ大人しくゲートに入ってくれるようになったので、ここに向けてしっかり食べさせて乗り込めました。これから体がどう成長するかが課題ですが、揉まれても大丈夫な馬。次走は金の鞍賞を視野に入れています。