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第22回JBCクラシックJpnI

直線抜け出し昨年の雪辱
  得意の左回りで実力発揮

JBCスプリントJpnIとJBCクラシックJpnIの間に門別競馬場でJBC2歳優駿JpnIIIが行われるため、盛岡競馬場のレース間隔は1時間20分。しかしJBCスプリントJpnIの出走馬がコースに向かったあとも、ときおり雨が降るなか、パドックの周囲にはたくさんの人が残っていた。

そして18時10分頃、出走する15頭がパドックに登場。帝王賞JpnIで優勝経験があるテーオーケインズとメイショウハリオ、そして今年UAEダービーGIIを制したクラウンプライドが人気を集めたが、なかでもテーオーケインズが単勝1.8倍と圧倒的。クラウンプライドが4.4倍で続き、メイショウハリオは5.7倍となった。

小雨は降り続いていたが、スタンドの外にはたくさんのファン。ファンファーレの演奏と拍手のあとしばらくの静寂があり、そしてゲートが開くと再び拍手が沸き起こった。

好スタートから先手を取ったのはクラウンプライド。続く2番手には前走の日本テレビ盃JpnIIで差し切り勝ちを決めたフィールドセンスがつけて、その直後にはペイシャエス。テーオーケインズとメイショウハリオは縦長になった隊列の中団あたりを追走していた。

その流れはゆるやかだと感じられるもの。前走で逃げた馬が1頭もいないメンバー構成だけに、クラウンプライド鞍上の福永祐一騎手が取った作戦は正解だったといえるだろう。そしてテーオーケインズは向正面の中央付近から上昇を開始。これもまた、勝つために必要な判断だった。

逆に、前半で2番手につけたフィールドセンスは好スタートがアダになったようで、3コーナーあたりから失速。直線の入口では逃げるクラウンプライド、2番手に上がったペイシャエス、その直後にテーオーケインズという形になり、最後の坂を上がり切ったところでテーオーケインズが先頭に立ち、2馬身半の差をつけての完勝となった。2着はクラウンプライド、1馬身1/4差の3着にはペイシャエスが粘り込んだ。

メイショウハリオは5着。濱中俊騎手は「改めて右回りのほうが向いていると感じました」と話した。そうなると、東京大賞典GIでの巻き返しが次の目標になりそうだ。

勝ったテーオーケインズは、金沢競馬場で行われた昨年のJBCクラシックJpnIで好位追走のまま4着。今年の帝王賞JpnIも1番人気で4着だった。しかし左回りでは堅実で、今回の勝利で通算7戦5勝。敗れた2回は2歳時の3着と、サウジカップGIでの8着だけだ。レース後に高柳大輔調教師が「次はチャンピオンズカップを目指します」と話したのは当然のことだろう。

一方、2着のクラウンプライドは福永祐一騎手が「この馬もいずれは(GI/JpnIを)獲れると思います」と評価。3着のペイシャエスは菅原明良騎手が「返し馬から調子のよさを感じました」とコメントしていた。今回、ユニコーンステークスGIIIを勝ったときと同じクロス鼻革に戻したことも好走の要因になったのかもしれない。

JBCデイの最終レースとして実施されたJBCクラシックJpnIのあとには、次回、2023年11月3日(祝・金)の舞台となる大井競馬場にJBCフラッグが引き渡された。同時に実施されたトークイベントにもたくさんの人。夜8時を過ぎても送迎バス乗り場の列は長く続いていた。

取材・文 浅野靖典

写真 いちかんぽ(早川範雄、築田純)

Comment

松山弘平騎手

スタートでしっかりと出てくれたので、前半は道中のポジションは意識しないで馬のリズムを大切にして乗りました。それでも流れがゆっくりだと感じていたので、後半は自分から動いていきました。去年のJBCは負けてしまいましたが、今年は勝つ姿を見せることができたのでよかったです。

高柳大輔調教師

前走のあと、ここまで予定通りに乗り込んできたので、勝ててホッとしています。でも見ているほうは前半に外を回らされたこともあってハラハラ。心配していました。でも最後は調教の動きどおりにしっかりと伸びてくれました。まだキッチリ仕上げたというイメージではないので、次も楽しみにしています。