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第3回JBC2歳優駿JpnIII

絶好の手応えで直線突き放す
  石川騎手が好判断で勝利に導く

エーデルワイス賞JpnIIIが7年ぶりに良馬場で行われ、前週の3日間も終始良馬場での開催と、例年より意外とパワーを要す馬場が続いた。1日は良馬場スタートだったが、夕方以降の強い雨で馬場が一気に悪化。2日は好天に恵まれ、一旦は稍重に回復したものの、JBC当日は朝から雨に見舞われ、重馬場でレースを迎えた。

ホッカイドウ競馬の2歳中距離重賞は、ブリーダーズゴールドジュニアカップ→サッポロクラシックカップ→サンライズカップ→JBC2歳優駿JpnIIIと体系化されている。今シーズンは、ベルピットとオーマイグッネスの角川秀樹厩舎2頭が牽引してきた。しかし、メンバーがほぼ変わらず、比較的遅いペースでのレースが多かったので、例年に比べると、自信を持って地元有利とは言い難い面はあった。しかも、エーデルワイス賞JpnIIIが、レース史上初となるJRA勢のワンツースリーとなったこともあり、JRA勢優位と考えた方が良いと感じていた。

エーデルワイス賞JpnIIIでワンツーを決めたJRA勢は、早めに門別競馬場へ入厩していた。海を渡る輸送を考えると、キャリアの浅い2歳馬が、能力を最大限に発揮できる上で滞在する効果は大きい。1頭のみ滞在する形だと、かえって馬が寂しい思いをすることもあるが、エコロアレス、ゴライコウ、ナチュラルリバーの3頭は1週前から門別競馬場に入厩。最終追い切りも、門別の屋内坂路を利用した。

ゴライコウは、レースに騎乗することになっていた石川倭騎手が、追い切りでも跨った。単走で肩ムチを入れながら運び、さほど目立つ時計ではないものの、最後の伸びは良かった。その辺りを石川倭騎手に伺うと「物見をして、あまり集中していなかっただけで、良い動きでしたよ」と話した後、少し間をあけ「相当能力を感じる馬です。癖を掴めたし、ゴライコウで挑めるのは楽しみです」と力強く答えていた。

ホッカイドウ競馬の2歳中距離重賞がいずれも、前半3ハロン38秒前後という流れだったことを考えると、エコロアレスが引っ張る展開となったJBC2歳優駿JpnIIIの前半3ハロンは36秒5で、少し速い流れと判断できる。ベルピットはこれまで、オーマイグッネスの後ろにいるレースをしていたが、今回は初めて僚馬より前につけた。

序盤でゴライコウは馬群の後ろにいたが、向正面に入ったところで、石川騎手が外に切り替え、砂を被らない位置に持っていくことができた。今週は、内を避けて走る地元ジョッキーが多く、道中のロスがあっても外を回る方が結果が出る。馬場を把握するジョッキーを配したことが、まさに地の利だった。4コーナーを絶好の手応えで先頭に立ったゴライコウが、ベルピットらを突き放し、未勝利戦から連勝で重賞タイトルを手にした。

新谷功一調教師は、グランブリッジとクラウンプライドが盛岡JBCに出走していたため、代わりに安田光佑調教助手が表彰台に立った。グランブリッジが惜しくも2着だった後だけに「ゴライコウの勝利は、クラウンプライドに弾みがついたと思います」と笑みを浮かべていた。そして、生産者の坂本智広さんは、「本当に勝ったのか!?と、いまだに信じられないぐらい。ファンの方々の声援がある中で、こんな大きなレースを勝たせてもらえるなんて、ただただ感謝です」と、喜びをかみしていた。

2着から5着は北海道勢が占め、何とか地元の意地を見せてくれた。積極的なレースで2着だったベルピットは、負けて強しの内容と言える。3着のリアルミーも、キャリア2戦の身で最後方から追い上げた。彼らのさらなる活躍を期待したい。

取材・文古谷剛彦

写真いちかんぽ(浅野一行、中地広大)

Comment

石川倭騎手

追い切りに騎乗させていただき、ある程度癖を掴んだ上でレースに挑めました。道中は余裕があったことに加え、砂を嫌がる面がありましたから、向正面で外に切り替える判断をしました。外を回るロスがあっても、馬の力を信じて乗った結果が、後続を突き放す内容でしたから、今後がますます楽しみです。

安田光佑調教助手

早めに門別へ入厩し、1頭だけでなく他の厩舎の馬と一緒に行動ができたり、田中淳司厩舎にサポートしていただくなど、周りの方々のおかげで調整できたことは、本当に感謝したいと思います。砂を嫌がるタイプですが、石川倭騎手が上手にエスコートしてくれました。最高の結果を出すことができました。