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第22回ローレル賞

好スタートを決め逃げ切る
  期待のニューヒロイン誕生

11月8日、川崎競馬場でグランダム・ジャパン2歳シーズンのローレル賞が行われた。上空では、442年ぶりのダブル天体ショーという非常に珍しい日だった。皆既月食の最中に、月が天王星を隠す天王星食も起こるという現象。空を見上げてスマートフォンを掲げる競馬ファンや関係者の姿も多く見られた。

そんな月食の最中に実施された2歳牝馬たちの熱戦。今年は他地区馬の出走はなく、南関東所属馬14頭によって争われた。レース前の取材では「どの馬が勝ってもおかしくない」という関係者からの声も多く聞かれ、大混戦ムードが漂っていた。

しかし、終わってみれば、1強と言うべき結果となった。矢野貴之騎手がエスコートした1番人気マカゼが逃げ切り快勝で重賞初制覇。マカゼという馬名は、宝塚歌劇団・宙組トップスターの真風涼帆さんが由来になっているという。

「リズム通り運ぶことができて力通りでした。相手が来るなりというか、自分でハミを抜いてリラックスして走ってくれたので、自信を持って乗せてもらいました」(矢野騎手)

マカゼは好スタートを決めると終始軽快な走り。3~4コーナーで後続をジワッと引き離しにかかり、直線では鞍上のステッキにしっかり応えながら突き放した。勝ちタイムは1分44秒6(良)。2馬身差の2着が中団前のポジションから進めたサーフズアップ。さらに2馬身差の3着は向正面で動いて脚を伸ばしてきたエイシンレア。上位3頭は、12月31日に大井競馬場で実施される東京2歳優駿牝馬の優先出走権を獲得した。

マカゼの父は帝王賞JpnIや川崎記念JpnIなど通算9つのダートグレードタイトルを獲得した地方競馬の最強馬フリオーソで、母のユリカチャンは中央未勝利から地方に移籍し、名古屋・大井に所属して走った馬。そんな地方競馬にゆかりのある馬の仔から重賞ウイナーが誕生した。

「とにかく大人しい馬です。牝馬の割にはカイバも食べてくれますし、人の言うこともよく聞いてくれる素直な女の子っていう感じです。すごい有名な方の名前が由来なので、負けないように頑張って、重賞をどんどん勝って欲しいと思います」(高月賢一調教師)

マカゼは5月20日にデビューし、これで4戦3勝、2着1回という成績。逃げても差しても競馬ができるセンスの良さも魅力だろう。次走はグランダム・ジャパンの最終戦でもある東京2歳優駿牝馬を予定しており、S1タイトル獲得を目指す。今後のステージが輝かしいものであるように、ニューヒロインのパフォーマンスに期待したい。

取材・文高橋華代子

写真築田純(いちかんぽ)

Comment

矢野貴之騎手

リズムよく運べていて直線も頑張ってくれるなという雰囲気はあったので、その通りになってくれました。まだまだバツッとしたところがなくて、これから成長してくるところだと思います。牝馬の割にはドッシリしてレースに臨めているというのが、この馬の良さですね。非常に楽しみだと思いますよ。

高月賢一調教師

矢野君と「行く馬がいなければハナに行った方がいいのではないか」という話で、あとは馬の力を信じて走らせました。2、3番手でも競馬はできると思いますが、うちはハナに行く馬が多いですし、ゲートを出てダッシュが良かったから行ってくれたと思います。引っ掛かるところもなかったですね。