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第38回プリンセスカップ

前回敗戦を糧に一矢報いる
  地元期待馬が一騎打ちを制す

3日前に今シーズンの開催が終了したばかりのホッカイドウ競馬から今年も5頭が遠征。プリンセスカップが重賞に格上げとなった過去10年(休止となった2019年を除く9回)でその北海道勢が5勝を挙げているが、今回は地元期待のフジラプンツェルが単勝1.6倍という断然人気にこたえる力強い走りを見せた。

これまでもスタートがあまりよくなかったフジラプンツェルだが、今回も他馬より一完歩ほどタイミングが遅れて最後方から。しかし山本政聡騎手は落ち着いていた。「早く出そうとか、うまく出そうとか思うと、焦って躓いたりするから、スタートはもともとゆっくりなんだと思います。比較的前に行く馬が多く、流れは速くなるんじゃないかと思ったので、気楽に行こうかなと思っていました」

外目の枠から先頭に立ったのはエイシンエイトで、2番手にライトニングブルーと、北海道勢が先行。3番手は地元キタカラキタオペラだが、さらに北海道のキューティロメラが続いた。

ペースが落ち着いた3コーナー、いつの間にか位置取りを上げてきていたフジラプンツェルが先行勢に取り付いた。そして抜群の手応えのまま、大外を回って先頭のエイシンエイトをとらえにかかる。

直線を向くと2頭の一騎打ち。逃げていたエイシンエイトは、フジラプンツェルに並びかけられると直線の坂でもうひと伸びして食い下がった。しかしゴール前、フジラプンツェルが相手を捻じ伏せるように半馬身差で勝利。3着キューティロメラには7馬身差がついていた。

2~5着を北海道勢が占める中での地元フジラプンツェルの勝利。今年ここまで盛岡で行われた2歳馬の交流重賞では、知床賞、南部駒賞、ジュニアグランプリと、いずれも北海道からの遠征馬が制していたが、地元の期待馬が一矢報いてみせた。

勝ったフジラプンツェルはデビューから5連勝で注目となった。水沢850メートルのデビュー戦こそハナ差の辛勝だったが、その後はレースを重ねるごとに2着馬との差を広げ、重賞の若鮎賞は10馬身、ビギナーズカップではさらに大きな差をつけた。初めての交流戦となった南部駒賞でも1番人気に支持されたが、北海道、船橋、佐賀からの遠征馬に屈し、4着に敗れていた。

「前回の走りで問題点が見つかったので、今日はシャドーロールをつけて集中力をきらさないように、それが成功したと思います」と瀬戸幸一調教師。そして山本騎手も、「前回は向正面で何度も手前を変えたり、他の馬から逃げるような感じで集中していませんでしたが、今回は3コーナーからほかの馬に寄せていってもひるむことなく集中して走っていました」と手応えを感じた様子だった。

グランダム・ジャパン2歳シーズンは、最終戦の東京2歳優駿牝馬を残すのみ。ここまで表彰対象の地方馬では、今回2着だったエイシンエイト(北海道)が16ポイントのトップで、2位がラブミーチャン記念を勝ったボヌールバローズ(大井)で15ポイント。そしてフジラプンツェルを含め10ポイントが5頭という大混戦。2歳女王の座は最終戦の結果が大きな意味をもつことになる。

取材・文斎藤修

写真佐藤到(いちかんぽ)

Comment

山本政聡騎手

3コーナーから集中して動いてくれて、前にいる馬で相手になるのは逃げ馬だと思い、並ばせたら最後までがんばってくれました。今回は勝ててよかったです。2歳馬にしてはきれいなトビをしてるし、動き方も2歳馬離れしたような反応をしているので、これからもっと強くなると思います。

瀬戸幸一調教師

前回(南部駒賞)は交流戦だと思って調教を少しやりすぎて、それが裏目に出た感じでした。距離は短いほうがいいと思いますが、レースに集中してくれれば、1600、1800くらいまでがんばってくれるのかなと。次は、地元の寒菊賞か、東京2歳優駿牝馬に遠征か、オーナーとの相談になります。