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第24回兵庫ジュニアグランプリJpnII

直線突き放しダート3連勝
  北海道勢が2・3着に健闘

JRAからダート無敗馬が3頭も出走した今年の兵庫ジュニアグランプリJpnII。加えて門別3勝で川崎・鎌倉記念2着のスペシャルエックス(北海道)や、同3着のデステージョ(北海道)など粒ぞろいのメンバー構成となった。

その中で単勝1.5倍の1番人気に支持されたのはデビューから2連勝中のトレド(JRA)。新馬戦は中山ダート1800メートルの2歳コースレコードで快勝し、続くプラタナス賞も最後は軽く気合いをつけられる程度ながら7馬身差で圧勝したとあって、未来へ向けて高い期待が寄せられた。

単勝3.7倍のオマツリオトコ(JRA)は追われてからのスピードが魅力的な馬。新馬戦はダート1000メートルで鋭い末脚を見せ、芝替わりの函館2歳ステークスGIIIでも3着と、芝でも通用するスピードを見せると、再びダートに照準を合わせたヤマボウシ賞を勝ってダートでは無敗でここに臨んだ。

同じく、芝の新馬戦こそ敗れたものの、ダートに切り替え2連勝でエーデルワイス賞JpnIIIを制したのはマルカラピッド(JRA)。2010年リアライズノユメ以来4頭目となる牝馬による勝利がかかる。

ところが、不測の事態がレース序盤から起きた。1番人気のトレドがスタート直後にややバランスを崩し、さらに1周目ゴール板を過ぎたあたりで歩様が乱れ、競走中止。場内は一気に悲鳴に包まれた。

それでもレースは続く。好スタートから強気に先手を取ったスペシャルエックスがレースを引っ張り、2番手外にやや力んでいたエコロアイ、それらを見る位置からオマツリオトコが運んだ。

3~4コーナーでオマツリオトコが外から交わしにかかると、内でスペシャルエックスも粘りに粘ったが、直線でリードを広げたオマツリオトコが4馬身差で勝利。そこから2馬身半差の3着には中団から伸びたデステージョが入った。

なお、1コーナーで競走を中止したトレドは前脚を地面に着けるのも辛そうなほどで、痛々しい姿と陣営の期待のほどを思うと、目をそむけたくなるような現実だった。

勝ったオマツリオトコは今年のJRA最初のダート新馬戦の勝ち馬。園田競馬場は前日に4コーナー内側に砂が補充されたことに加え、前日夕方には第7レースが取りやめになるほどの激しい落雷と大雨があったため、この日はコース全周内側に砂が補充された。横山武史騎手は「内が重たい印象でした」と、そういった傾向をしっかり把握し、勝負所は外に出して伸びたのだった。関東の騎手ゆえ、園田競馬場での騎乗はまだ2回目だったが、園田初勝利が重賞制覇。「力のある馬だとよく分かっていたので、結果を残せて嬉しいです」と喜んだ。

2着スペシャルエックスは「砂を被ると嫌がると聞き、ゲートだけ決めて行きたいと思っていました。思いのほか、いいペースで運べましたけど、道中は全くハミを取らず、前ばかり見ていました」と田中学騎手。まだ気性的に幼い面を残しており、「まだまだ奥がありそうです」と今後に期待が寄せられる。

同じく気性面の成長が課題となったのは4着マルカラピッド。「砂を被って上に飛ぶ感じで、向正面で砂を被らない外に出してもハミを取りませんでした。直線はジリジリ脚を使っているのですが、レース後は息が上がりきっていなくて」と小沢大仁騎手。

対して3着デステージョの吉村智洋騎手は「負けましたが、内容はよかったです」と悔しさの中にもどこか納得の表情。「賢くて自在性のある馬で、距離が延びても大丈夫そうです。今後、活躍すると思います」と話した。

取材・文大恵陽子

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

横山武史騎手

力がある馬だと分かっていたので、結果を残せて嬉しいです。スタートはあまり得意な馬ではないのでそこだけ気を付けて、これまでに比べると出てくれました。新馬戦の時も仕掛けていい反応でしたが、今日もさらに良くなっていて想像よりも強い競馬でした。まだまだ成長の余地があるので楽しみです。

伊藤圭三調教師

スタートよくいい位置につけて、小回りコースを踏まえて上手く乗ってくれました。どっしりとした気性で、逃げなくてもいいタイプの馬です。今日は出して行きましたがゴールまで止まっていないですし、距離はもつと思います。状態を見て問題なければ、全日本2歳優駿を視野に入れたいです。