遠征馬4頭の接戦を制す
小回りコース克服も収穫
名古屋方面から名鉄電車に乗り、木曽川の鉄橋を渡ると右側に広がるのが笠松競馬場。この日、その車窓から見えたのは、馬場にあるたくさんの水たまりだった。どうやら夜明け前に大量の雨が降ったようで、馬場の外側を歩いてみると、少し体重をかけただけで砂から水がしみ出てきた。そういう“超不良”といえる馬場状態の影響で、この日は第1レースから逃げ先行タイプが優勢だった。
今年の笠松グランプリは、このレースが始まって以来となるフルゲート割れ(2018年まではフルゲート10頭、出走取消があった年を除く)。上位人気は他地区から遠征の5頭に集中。連覇を狙うダノングッド(高知)が単勝2.9倍で1番人気に推され、2番人気のスティールペガサス(北海道)が3.1倍と続いて、5番人気のベストマッチョ(川崎)が8.4倍。ただ、今年の出走馬には先手を取りたいというタイプが不在だった。
とはいえ、その馬場状態では後方からでは届かないのは明らか。ゲートが開くと、前走のゴールド争覇で早め先頭から押し切ったベストマッチョが先手を取った。同じレースで2着だったダノングッドも大外枠から積極的に動いて2番手に。そしてルーチェドーロ(川崎)、地元のインシュラー、さらにスティールペガサスが加わって、スピード感がある先行争いになった。
それでも2コーナーでは隊列が落ち着いて、ベストマッチョがレースを引っ張る形。しかしそこに、1コーナーで7番手にいたアポロビビ(浦和)が一気に位置取りを上げて、3コーナーの手前で先頭に立った。
笠松競馬場ではあまり見られない、向正面での一気のまくり。アポロビビは今回がJRAから浦和所属に変わっての初戦で、さらに初めてとなるコーナー4回の競馬。JRA時代は直線一気の競馬で結果を残していたが、最後の直線が201メートルの笠松で、まして水分たっぷりの不良馬場で同じことをしては間に合わない。引退レースを翌日に控える左海誠二騎手の判断は正しかったといえるだろう。
ただ、そのほかの遠征馬たちも実力は互角で、4コーナーでは4頭が横に広がって迫力が感じられる追い比べ。その争いを制したのは、インコースから伸びてきたルーチェドーロ。4コーナーでの距離ロスを最小限にできたことが功を奏した。
積極的なレースを見せたアポロビビが半馬身差で2着に粘り、ベストマッチョがアタマ差の3着で、スティールペガサスはクビ差で4着という好勝負。ダノングッドはいつものように3コーナーで少し置かれたのが影響して、4着とは2馬身差の5着だった。
その勝ち時計は1分26秒6。その次に行われたA級2組より3秒2も速かった。そんなハイレベルな戦いを制した直後、勝利に導いた御神本訓史騎手はホッとした表情を見せていた。
池田孝調教師も前走競走中止からの休養明けで結果を出せたことで安心した様子。「仕上げが難しいタイプですが、担当の厩務員さんがしっかりとケアしてくれたおかげ。御神本騎手も馬のクセがわかっていて、私が描いていたとおりの競馬をしてくれました。そして櫻井(光輔)騎手が上手に調教して、馬を造ってくれましたね。そうだなあ、今回のいちばんの功績は櫻井君かもしれないですね」と、チーム一丸での勝利に笑顔を見せていた。
取材・文 浅野靖典
写真 築田純(いちかんぽ)
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池田孝調教師
休養から立て直すのに時間がかかりましたが、最終追い切りでまずまず仕上がったなという感触でした。今回は小回りコースを経験させる意図がありましたが、難なくこなしてくれましたね。このあとは浦和のゴールドカップか園田の兵庫ゴールドトロフィーを目指せれば。まだ力をつけられる馬だと思います。







御神本訓史騎手
前走は気持ちが乗っていなくて競走中止になりましたが、今日は返し馬からいい雰囲気だと感じていました。前半はペースが落ち着きましたが、3コーナーあたりから速くなって、いい流れになりましたね。内を回ったのもその流れに乗った形です。どちらかというと、右回りのほうがいいのかもしれません。