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未来優駿・2歳チャンピオンシリーズ2022総括


クローズアップ

2022.12.20 (火)

ダート系種牡馬の産駒が活躍
 ボーナスは北海道勢が独占

従来から行われていた未来優駿と、2歳馬のダートグレード競走3戦が連携し、着順ポイントによって褒賞金が与えられる『2歳チャンピオンシリーズ』。詳細はあとで紹介するが、褒賞金が与えられる上位3位まで、昨年に続いて北海道所属馬が独占という結果になった(以下、成績および種牡馬ランキング等はいずれも12月16日現在)。

まずは昨年の2歳チャンピオンシリーズ上位馬が今年3歳になっての成績を振り返っておく。

昨年1位のナッジは大井に移籍して期待されたが、雲取賞2着、京浜盃3着、黒潮盃3着、東京ダービー5着など、上位争いにはからんだものの勝ち星に至っていない。

2位だったエンリルは3歳時も北海道にとどまり、北斗盃2着、王冠賞勝利と、北海道の三冠路線で結果を残した。そしてダービーグランプリでは、北斗盃、北海優駿の二冠馬シルトプレと一騎打ちの末、惜しくも2着。南関東勢を3着以下にしりぞけたという結果は、3歳路線でも北海道のレベルの高さを示した。

3位だったリコーヴィクターも大井に移籍し、東京ダービーで3着となったが、ジャパンダートダービーJpnI(11着)のあと休養に入って、こちらも3歳になっての勝ち星がない。

2歳時にトップレベルで活躍した馬が、3歳時にも同じようなレベルで活躍を続けることの難しさを感じさせた。

やはり強い北海道勢

未来優駿は一昨年から南関東の対象レースが4レースになったことで、全体では11レースとなっての3年目。

近年は多くの地区で2歳新馬戦が早い時期から実施されるようになったが、やはり活躍が目立つのは層の厚い北海道デビュー馬。未来優駿では、門別のサンライズカップ以外に全国交流となっているのが3レースあり、鎌倉記念こそ2頭出走した北海道勢が2、3着だったが、南部駒賞は北海道のエイシンケプラーが逃げ切り、平和賞では1着プルタオルネ、2着グロリオサと、出走した北海道の2頭がワンツーを決めた。

南関東では、ゴールドジュニアでゴール前大外から豪快に差し切ったリベイクフルシティがデビューから4連勝。続くハイセイコー記念では1番人気に支持されたものの5着。ゴール前差し切ったのはマンダリンヒーローで、デビューから4連勝とした。鎌倉記念を制したヒーローコールは、浦和所属ながらデビュー3戦目から川崎コースで4連勝。全日本2歳優駿JpnIIIでは地方最先着の4着と健闘した。

兵庫若駒賞を制したベラジオソノダラブもデビューから3連勝だったが、続く11月30日のJRA認定アッパートライでは3着に敗れている。

九州ジュニアチャンピオンでは牝馬のイチノコマチが勝ち、3着まで牝馬が独占。黒潮ジュニアチャンピオンシップも同じく3着まで牝馬が独占し、勝ったのはハチキンムスメ。こちらは断然人気のユメノホノオが4着に敗れたことで3連単79万円の大波乱となった。

牝馬といえば、ゴールドウィング賞を制したセブンカラーズがデビューから4連勝。2着馬につけた着差が、7馬身、大差(2秒1)、4馬身、3馬身という圧倒的な強さを見せているだけに、3歳重賞戦線では楽しみな存在だ。

血統的なことでは、いまや日本ではサンデーサイレンス系、キングカメハメハ系の内国産が主流となっているが、今年の未来優駿の勝ち馬では11頭中半数近い5頭が輸入種牡馬の産駒だった。ゴールドジュニアのリベイクフルシティ(マジェスティックウォリアー)、サンライズカップのオーマイグッネス(マクフィ)、九州ジュニアチャンピオンのイチノコマチ(パイロ)、兼六園ジュニアカップのノブノビスケッツ(マインドユアビスケッツ)、ハイセイコー記念のマンダリンヒーロー(シャンハイボビー)。それらの種牡馬のうち、マクフィ以外の4頭はアメリカのダートの活躍馬(ドバイ遠征も含む)だった。

一方で、鎌倉記念のヒーローコールの父がホッコータルマエ、ゴールドウィング賞のセブンカラーズの父がコパノリッキーと、日本のダートでチャンピオン級の活躍をした種牡馬の産駒も未来優駿の勝ち馬となった。

そして地方競馬らしいと言っていいのかどうか、勝ち馬11頭中10頭が日高地方の生産馬だった。

グレード3戦はJRA馬が勝利

そして『2歳チャンピオンシリーズ』のダートグレード3競走では、昨年に続いて地方馬の勝利はなかった。

また、ダートグレード3戦をすべて制した馬には三冠ボーナスが設定されているが、中2週、中2週という日程では、今年も3戦すべてに出走した馬はいなかった。

JBC2歳優駿JpnIIIは、勝ったのはJRAのゴライコウだが、鞍上は地元の石川倭騎手。デビュー3戦目の前走で未勝利戦を勝ったばかりだったが、中団追走から徐々に位置取りを上げると、直線を向いて抜け出し完勝。地元期待の1番人気ベルピットに2馬身半差をつけた。父は鎌倉記念のヒーローコールと同じホッコータルマエ。これらの活躍によって、ホッコータルマエは2022年の地方2歳馬の種牡馬ランキングで1位となっている。

兵庫ジュニアグランプリJpnIIは、1番人気のトレドが競走中止のアクシデント。これまでスタートいまひとつで位置がとれなかったオマツリオトコが互角のスタートから3番手につけると、4コーナーで先頭に立っての完勝。2、3着には、鎌倉記念でも2、3着だった北海道のスペシャルエックス、デステージョが入った。

勝ったオマツリオトコの父ヴィットリオドーロは、ダートグレード戦線で活躍した牝馬プリエミネンスがアメリカに渡って生まれた産駒。日本に輸入され、モハメド殿下の所有で中央で4勝し種牡馬となった。オマツリオトコは、2018年北海道2歳優駿JpnIIIのイグナシオドーロに続いて産駒2頭目の重賞勝ち馬。ともに母の父がスマートボーイというグランド牧場ゆかりの血統。

全日本2歳優駿JpnIは、1番人気ペリエールが抜群の手応えで3コーナー過ぎで前をとらえにかかり、4コーナーで先頭に立って直線を向いたが、これを追ってきたデルマソトガケが外から差し切って勝利。内に切り替えたオマツリオトコがアタマ差2着で、ペリエールは1馬身差3着。能力拮抗のこの3頭は、ペースや展開やコースなど条件によって順序は変わりそう。地方最先着は、鎌倉記念を制したヒーローコールで4着だった。

勝ったデルマソトガケの父は、兼六園ジュニアカップのノブノビスケッツと同じマインドユアビスケッツ。またエーデルワイス賞JpnIIIを制し、全日本2歳優駿JpnIでは逃げて5着だったマルカラビットの父も同じ。この世代が初産駒となるマインドユアビスケッツは早くもダートグレード勝ち馬を2頭出し、地方の新種牡馬ランキングで1位のベストウォーリアに僅差で2位となっている。

2歳チャンピオンシリーズのポイントでは、冒頭でも触れたとおり昨年に続いて北海道所属馬が上位3位まで独占。兵庫ジュニアグランプリJpnII・2着のスペシャルエックスが21ポイントで1位。JBC2歳優駿JpnIII・2着のベルピットが19ポイントで2位。この2頭は未来優駿の重賞で2着があり、スペシャルエックスは全日本2歳優駿JpnIに出走(13着)したぶんの2ポイント差で1位となった。またサンライズカップでベルピットを2着にしりぞけ、JBC2歳優駿JpnIII・4着だったオーマイグッネスが3位となった。

斎藤修

写真 いちかんぽ