web furlong ウエブハロン

地方競馬のオンライン情報誌ウェブハロンPresented by National Association of Racing

Copyright(C) 1998-NAR.All Rights Reserved.

第22回兵庫ゴールドトロフィーJpnIII

直線突き抜け三度目の正直
  得意の条件でグレード5勝目

今年春、黒船賞JpnIII、かきつばた記念JpnIIIを連勝し、一躍ダート短距離路線で注目の存在となった兵庫のイグナイターが、昨年のこのレース(3着)以来、1年ぶりの地元凱旋出走。園田競馬場のパドックは、メインレースの出走馬が姿を現す前から多くのファンが取り囲んだ。

一方で単勝1.6倍という断然の支持を集めたのはシャマル。今年地方のダートグレード3勝に加え、マイルチャンピオンシップ南部杯JpnIでのきわどい3着、さらに距離を延ばしてのチャンピオンズカップGIで5着という成績が評価された。

イグナイターは単勝3.2倍の2番人気で、連勝式のオッズはこの2頭に集中。しかしながら勝ったのは、トップハンデ59キロを背負ったラプタスで、シャマルが2着。地元期待のイグナイターは5着に敗れた。

1番枠に入って逃げるかと思われたラプタスは互角のスタートを切ったものの、これを制してハナを取ったのはオーロラテソーロ。金沢のオヌシナニモノが2番手で、イグナイターは3番手外目の絶好位につけた。ラプタスはその内で、1コーナーを回るあたりでは行きたがるような素振り。シャマル、サクセスエナジーも続いた。

向正面中間、手応え抜群のイグナイターが先頭をとらえにかかり、そのまま一気に抜け出すかに思われた。しかしオーロラテソーロは譲らず3コーナー過ぎで再び単独で先頭に立って直線を向いた。そこに満を持して襲いかかったのがラプタス。園田の短い直線半ばで並ぶ間もなく突き抜けた。

ラプタスはこのレースで過去2年とも外枠に入ってスタートがうまく切れず、それでも一昨年が3着、昨年が2着と見せ場をつくっていた。昨年9月のサマーチャンピオンJpnIII以来勝ち星から遠ざかり、今年は黒船賞JpnIII、かきつばた記念JpnIIIではイグナイターの後塵を拝していただけに、今回はやや人気を落としていた。それでもこのレース三度目の正直で結果を残し、ダートグレード5勝がいずれも地方の1400メートルという得意の条件で能力を発揮した。

人気のシャマルはゴール前迫ったものの1馬身届かず。「ジーワンのあとで疲れがありながら、ここまでよく頑張ってくれました」と川田将雅騎手。

内でオーロラテソーロが粘るところ、ゴール寸前、外から3着に突っ込んだのが、一昨年の覇者サクセスエナジー。スタートしての直線では内に閉じ込められてしまい、かねてから懸念材料となっていたように「3コーナーではキックバックを嫌がっていました」と松山弘平騎手。それでも直線外に持ち出すと抜群の伸びを見せた。今回は休み明けでの馬体重プラス27キロ。明けて9歳になるが、ダートグレード6勝の古豪は健在だ。

イグナイターはレース中盤で見せ場をつくったものの直線一杯。「(向正面では)仕掛けて行ったわけではなく馬の気持ちのまま行って、よく走れたんですけど、4コーナーでは苦しいのか外々に張っていました。ずっと遠征競馬で、今回は輸送がないぶん、(馬体重)プラス23キロも少し太かったかもしれません」と田中学騎手。さらなる高みは来年への期待だ。

取材・文斎藤修

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

幸英明騎手

最近では一番調子はよさそうな雰囲気でした。できればハナに行きたかったんですけど、速い馬がいたので、自分の形ではなかったですが、終始手応えもよかったですし、結果的に4コーナーで間を割ってくるときの脚が違ったので強かったです。今日のような競馬ができるので、まだまだやれると思います。

松永晴太調教助手

落ち着いていましたし、状態はよかったと思います。1番枠なので行くと思っていましたが、幸さんも、前に入られたときにアッと思ったようです。59キロはそんなに楽な競馬にはならないと思ったのですが、それでも強い競馬をして、一生懸命走ってくれました。