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タービランス


高橋華代子

2023.01.20 (金)

「気になるあの馬はタービランス」

写真撮影 浅野写真事務所

地方生え抜きの雄タービランスは、2歳から9歳の現役生活において抜群の安定感を誇りました。2015年7月に北海道の若松平厩舎からデビューし、サンライズCは佐々木国明騎手とのコンビで重賞初制覇を飾ると、2016年1月からは浦和の水野貴史厩舎の一員になり、クラシック前哨戦の京浜盃と1冠目の羽田盃を連勝。

脚元の不安や怪我などで長期休養を挟みながらの現役生活でしたが、不屈の精神と関係者の尽力で砂上に帰ってきました(北海道と南関東を往復していた時期もあり)。通算タイトルは7勝。ダートグレード競走のタイトルもあと一歩で、2021年の浦和記念は2着。

今年10歳になり、1月3日の報知オールスターCに向けた最終追い切り後に左前蹄骨の骨折を発症。10歳という年齢を考慮し、現役を引退することになったそうです。

「全てにおいてすごい馬でしたが、ストライドが伸びた時の沈み込む感じは特にすばらしかったです。若い頃はソラを使って勝ち切れないレースもありましたが、年を重ねて、それは解消しました。競り合った時の抜かさせない根性も優れていましたね。これほどの馬はなかなかいません。頑張ってくれてありがとうと伝えたいです」(水野調教師)。

1月13日に浦和競馬場で引退式が行われました。南関東で主戦だった森泰斗騎手と笹川翼騎手も出席。森騎手は今は亡き泉俊二オーナーの勝負服を着用し、笹川騎手は現在の吉木伸彦オーナーの勝負服を着用。

森騎手は「クラシックを初めて勝たせてもらった馬です。若い頃はなかなか難しく、より深く考えて騎乗するきっかけになりました。今の僕を形づくってくれた馬の1頭だと思っています。昔からの先輩でもある水野先生と一緒に重賞を勝てたのも思い出深く、今はありがとうという言葉しか思い浮かばないです」とコメント。

笹川騎手は「感動してうまいことが言えません。出会いは最近ですが、僕の名前を広げてくれて重賞をたくさん勝たせて頂いた馬の1頭です。個性的で、乗るのが毎回楽しみでした。いろいろ考えさせてくれる馬でもあったし、今の自分があるのはタービランスに乗ったからと言っても過言ではありません」と話していました。

今後のタービランスは、引退馬協会さんの『ナイスネイチャ・34歳のバースデードネーション』の対象馬として、再就職支援プログラム受講生となることが内定。怪我が治った後にリトレーニングを受けて、乗馬としてセカンドキャリアを目指すことになるそうです。

地方競馬の功労馬が10歳からのリスタート。穏やかで幸せな馬生でありますように!タービランス、お疲れ様でした。

高橋華代子(たかはしかよこ)

元NHK山形放送局キャスター。現在は南関東競馬を中心に取材活動中。
<掲載媒体>
・南関魂
・TCKホームページ
・楽天競馬
・WEBハロン
・馬事通信
・netkeiba.com
・ターファイトクラブ会報誌
・SPAT4ザ・ウィナーズ など