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第26回TCK女王盃JpnIII

明け4歳のライバル対決
  JBCクビ差の雪辱果たす

10年に一度の最強寒波が襲来した日本列島。この日の大井競馬場は澄んだ青空が広がってはいたものの日中の気温は3度前後という痛いくらいの冷たい空気。そんな凍てつく寒さのなか、真冬の女王決定戦が行われた。

1998年に創設され、26回目を迎えたTCK女王盃JpnIII。歴代優勝馬には数々の名牝が名を連ねてきたレースだが、“全日本的なダート競走の体系整備”に伴い園田競馬場に移設されるため、今年が大井で最後の実施となる。

JRA5頭、南関東2頭の7頭立てにはなったが、少数精鋭といえるメンバーが集まった。1番人気は昨年のJBCレディスクラシックJpnI・2着のグランブリッジで単勝2.6倍。同じく2.6倍ながら票数の差で2番人気となったヴァレーデラルナはJBCレディスクラシックJpnIで一気に頂点に立った新星。3番人気はプリティーチャンスで4.2倍。展開の鍵を握るテリオスベルが4.5倍と、2022年後半の牝馬ダートグレードの優勝馬が顔を揃え上位混戦模様でレースを迎えた。

各馬、好スタートを切ったが、毎回行き脚のつきにくいテリオスベルに江田照男騎手の鞭が飛び、最後方から外に出すと一気に前へと上がって1コーナーで先手を取りきった。2番手にヴァレーデラルナ、3番手にグランブリッジ、直後にコスモポポラリタやプリティーチャンスが続き、マルカンセンサー、ナンヨーアイボリーが追走した。

後続に3馬身ほどのリードをとったテリオスベルがマイペースでレースを引っ張り、隊列に大きな動きはないまま直線へ。残り200メートルでヴァレーデラルナが先頭に立ったが、その外から一完歩ずつ差を詰めてきたグランブリッジが、ゴール手前で捉え1馬身差で優勝した。2着ヴァレーデラルナから2馬身差の3着には最後末脚を伸ばしたプリティーチャンス。5着までをJRA勢が独占し、1着から7着まで人気順での決着となった。

JBCレディスクラシックJpnI、クイーン賞JpnIIIともに2着と悔しいレースが続いていたグランブリッジが、その鬱憤を晴らす勝利で重賞3勝目。1400メートルだったデビュー戦以外は、中距離を中心に馬券圏内を外しておらず、まだまだ底が知れない4歳馬だ。小回りコースでも広いコースでも結果を出していることは大きな強みといえよう。2023年、主役の1頭としてこの後の牝馬戦線を盛り上げてくれそうだ。また、前走までの過去4戦は福永祐一騎手が手綱を取っていたが、今回は川田将雅騎手との初コンビ。「祐一さんが調教師試験に合格し、騎手を引退されるということでこの馬の手綱を引き継がせていただいたので、無事に一つタイトルを獲ることができてほっとしています。祐一さんが作り上げたグランブリッジ号で良い走りができるように継続してやっていきたいです」と思いを語った。なお、川田騎手自身はこのレース3連覇を達成した。

ヴァレーデラルナの岩田望来騎手は「相手はグランブリッジだと思っていました。JBCはクビ差で勝ちましたが力は同じくらいだと感じていて、今回は斤量も同じになりましたしね。まだキャリアの浅い馬ですし、この経験を活かしたいです」と振り返った。成長が楽しみなこの4歳馬2頭のライバル対決も今後注目となりそうだ。

取材・文 秋田奈津子

写真 国分智(いちかんぽ)

Comment

川田将雅騎手

ゲートを出るところから良い走りでしたので難なくスムーズに位置を取ることができました。初コンビでしたのでどれほどの脚を使えるのか馬を信じて乗ってみたところ、とても良い走りで強い馬を捕まえてくれたので良い内容だったと思います。素晴らしい馬と3回続けて勝つことができありがたく思います。