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第20回佐々木竹見カップジョッキーズグランプリ

3年ぶりに全国から参戦
  宮川騎手が初出場で優勝

地方競馬通算7151勝(ほか中央2勝)をあげた川崎競馬の至宝・佐々木竹見さんが、ジョッキー引退翌年の2002年度(03年)に創設された『佐々木竹見カップジョッキーズグランプリ』。全国のリーディングジョッキーたちが川崎競馬場に集結し、腕を競い合う真冬の風物詩。

一昨年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から南関東ジョッキーズのみで実施し、昨年は取り止め。今年は3年ぶりに、地方から12名、JRAから2名、計14名の各地のリーディングジョッキーが参戦した。

「また再開できたことは本当にうれしいですね」と、現在81歳の佐々木さん。変わらず年齢を感じさせない若々しい姿だが、今でも朝4時頃に起床し、週2、3回は散歩を兼ねて小向トレーニングセンターに行き関係者と話すことや、騎手時代と食事の量やその仕方も変わらないことが、若さの秘訣でもあるそうだ。

そんな佐々木さんをはじめ、イベントの手伝いに来た4月から騎手デビュー予定の地方競馬教養センター104期生。そして、多くのファンが見守る中で実施されたリーディングジョッキーの祭典。コロナ禍以前のような活気が戻ってきた。

第1戦のマイスターチャレンジ(1500メートル)は、JRA・戸崎圭太騎手の2番人気イグレックが直線で先頭に立って押し切り勝ち。戸崎騎手は50ポイント、2着の高知・宮川実騎手が38ポイント、3着の大井・矢野貴之騎手は33ポイントを獲得した。

戸崎騎手にとってこの勝利は、13年に大井からJRAに移籍してからの地方通算100勝というメモリアル。「全然知らなかったです。この地方競馬時代の勝負服を着るのは3年前の竹見カップ以来かなと思うので、この勝負服でこういう節目を達成できたことは感慨深いものがあります」。レースについては「二の脚もスーッとついて、いい位置で競馬ができて反応も良かったです。強い競馬ができました」と笑顔を見せた。

第2戦のヴィクトリーチャレンジ(1600メートル)は、大逃げを打った金沢・吉原寛人騎手の7番人気ライジングサミットが3/4馬身差をつけて最後まで粘り込んだ。吉原騎手に50ポイント、北海道・落合玄太騎手が12番人気オートヴィルを2着にエスコートし38ポイント、3着の笠松・渡邊竜也騎手は33ポイントを獲得。

この結果、第1戦が2着、第2戦は5着で計60ポイントを獲得した宮川騎手が総合優勝。2位が58ポイントの吉原騎手、3位は55ポイントの戸崎騎手となった。

宮川騎手は初出場ながら、高知所属として初優勝の快挙。「レースには勝っていないので自分でいいのかなと、まだ実感がないですね」。表彰式前の待機中に、高知で期間限定騎乗中の吉原騎手が「実さん、優勝!」と宮川騎手に抱きつき「一緒に(高知から)来たので、『1、2位を獲ろう』って話していたんです」と喜んでいた姿も印象的だった。

宮川騎手は1999年10月にデビューし、若手のホープとして大きな期待をかけられ実績を残してきた。しかし、09年にレース中の事故により顔面を複雑骨折し左目を失明する大怪我を乗り越えて、昨年は1月9日に地方通算2000勝を達成。さらには年間136勝をあげ、前年のリーディングだった赤岡修次騎手に14勝差をつけて初めて高知リーディングを獲得した。勝率32.2%、連対率51.4%といずれも驚異的な数字を残し、NARグランプリ最優秀勝率騎手賞は2年連続での受賞。

「川崎競馬場で乗るのは5回目くらいかなと思います。普段は左回りの競馬もめったに乗らないので、邪魔をしないようにというのが一番大きかったです。この総合優勝はうれしいですね。これからも高知を代表できるような騎手になっていきたいですし、また来年も出場したいです」と宮川騎手。

宮川騎手と吉原騎手は表彰式が終わると、翌日の高知での騎乗のため足早に川崎競馬場を後にした。

早いもので2023年も1カ月が経ったが、今年も全国各地で繰り広げられている騎手たちの腕比べ。来年はどのジョッキーが、この祭典の砂上に立っているのだろうか。

取材・文高橋華代子

写真早川範雄(いちかんぽ)

Comment

総合優勝 宮川実騎手(高知)

1戦目(2着)は4コーナーで勝てるかなと思いましたが、直線でもたれて苦しそうにしていました。勝つことができなかったのは残念ですが、紹介式からすごい声援があったので、高知代表としていい結果が残せたことを報告したいです。賞金は(生まれたばかりの)子供のおむつとミルク代にします(笑)。

総合2位 吉原寛人騎手(金沢)

1戦目は逃げ馬と聞いていましたが行き脚がつかなくて、案外進路もなく、久しぶりの川崎競馬で難しいところの洗礼を受けました。自分の競馬ができなかったぶん、2戦目は先手を取ろうと仕掛け過ぎましたが、気分よく楽に走っていたので、最後まで残るかなと思いました。気持ち良かったです。

総合3位 戸崎圭太騎手(JRA)

残念ながら1位は獲れませんでしたが、3位に入ったことで賞金をいただけて本当にうれしく思います。第1戦で勝った馬を管理する八木仁調教師は、地方競馬時代からお世話になっていて、こういタイミングで抽選にも選ばれて、いい巡り合わせというか、少し恩返しができたかなといろんな思いがあります。