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第69回エンプレス杯JpnII

直線一気に抜き去りライバルを完封
  ラストランのサルサディオーネは5着

3月1日に川崎競馬場で牝馬によるエンプレス杯(キヨフジ記念)JpnIIが行われた。JRA・地方を合わせて10頭と少頭数になったが、昨年のJBCレディスクラシックJpnIの1着ヴァレーデラルナと2着グランブリッジがそろって参戦。ヴァレーデラルナを差し切って悔しさを晴らした前走のTCK女王盃JpnIIIに続きグランブリッジに軍配が上がった。これで通算4つ目のタイトルを獲得。

このレースがラストランとなった地方競馬の女王サルサディオーネがハナへ。1周目の3~4コーナーでテリオスベルが2番手まで押し上げると、リネンファッションやフラーレン、ヴァレーデラルナ、アーテルアストレアが続いていき、グランブリッジは昨年の関東オークスJpnII・1着以降は先行していたが、今回は7番手。さらに大きく離れたポジションから笠松のナラ、ミスティネイル、クレールアドレが追走。

グランブリッジは、福永祐一騎手(3月1日より調教師)よりバトンを渡され、前走から手綱を取っていた川田将雅騎手は「今日は返し馬からとても苦しさを感じる雰囲気だったので、そのぶん、ゲートも苦しがって出ることができなかったですし、道中も進んでいくことができずにあの位置からになりました。なかなか進んでいくのが難しい中で、なんとか彼女が今日できる走りをしてもらいながら組み立てていった感じです」

2周目の向正面半ほどからヴァレーデラルナが上がっていくと、グランブリッジも進出。最後の直線で外から一気に抜き去ったグランブリッジが、2着のヴァレーデラルナに2馬身半差をつけて完勝した。そこからクビ差の3着がテリオスベル。勝ちタイムは2分18秒7(良)。川田騎手は「結果として、砂をかぶりながらでも勉強になる競馬になったと思うし、そういう苦しい状態でありながらも勝ち切れたのは、彼女自身の能力の高さだと思います」とグランブリッジを称えていた。

2着のヴァレーデラルナは出走メンバーで一番重い57キロの重量を背負い、最後の直線では進路がふさがるシーンもあったが、改めて強さは見せた。明け4歳のグランブリッジとヴァレーデラルナが、今年もこの路線の中心的存在になっていくのだろう。

なお、サルサディオーネは自分の形に持ち込み5着。JRAでデビューし、2020年から大井・堀千亜樹厩舎の一員になった。タイトルを獲得したのは地方に来てからで、そこから3年の間にダートグレード競走5勝を含む重賞8勝を飾り、NARグランプリの4歳以上最優秀牝馬は3年連続での受賞。今年9歳になり、このエンプレス杯JpnIIは6年連続の出走だった。有終の美を飾ることはできなかったが、“逃げ”という自分の競馬スタイルに徹した姿は、多くの感動を呼び、レース後にはSNS上で称賛する声があふれていた。今後は繁殖生活を送ることになる。

主戦の矢野貴之騎手は「もちろん勝ちたかったですが、それよりもラストランなので気分よく走らせてあげることを心掛けました。展開は想像していた通りで悔いはないです。毎回僕らの想像を超えた走りをしてくれた本当にすばらしい馬。今度は子供に乗れたらうれしいです」と話していた。

取材・文 高橋華代子

写真 築田純(いちかんぽ)

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川田将雅騎手

前回より手綱を任せていただいて、こうして無事に2つ続けて結果を出すことができました。これから先も順調にこの馬が学んできたことを、さらに僕からもいろいろと伝えながら、お互い学びながら大きいところを目指していきたいと思います。無事に皆さんの支持に応えて、今日も頑張ってくれました。