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第69回桜花賞

ゴール前一気に差し切る
  2歳女王がまず一冠制覇

3月22日に浦和競馬場で行われた南関東牝馬クラシック一冠目の第69回桜花賞。今年は3つの変更点があった。浦和競馬が今開催から通年はくぼ競馬になったため、伝統の一戦も初めて照明下で実施。さらに、これまで長きに渡り1600メートルだったが、枠順の有利不利が生じる舞台だったため1500メートルに。それにより出走枠は1つ増え、フルゲート12頭となった。

今年はグランダム・ジャパン3歳シーズンの初戦に位置づけられたが、前年に続き他地区からの遠征馬不在のため、南関東所属馬たちによって争われた。

単勝1.8倍と断然の人気を集めたのは、昨年のNARグランプリ2歳最優秀牝馬を受賞したメイドイットマム。前走のユングフラウ賞で大外一気の差し切りを決めたサーフズアップ、準重賞・桃花賞を制したフジコチャン、ユングフラウ賞2着のアトカラツイテクルが10倍以下に続いた。

初コースだったメイドイットマムが、ここでも強さを遺憾なく発揮。2歳女王が桜の女王にも輝いた。

好スタートを決めたものの、控えて縦長の6番手を追走。向正面では本橋孝太騎手の手が動きステッキが入るシーンも見られた。「初めての浦和で戸惑っていたのか、いつもより落ち着きがあって、競馬では気を抜くところもあったのでヒヤッとしましたが、直線に入ったら伸びてくれると自分に言い聞かせました」

4コーナー付近では、逃げていたアトカラツイテクルを、外3番手につけていたサーフズアップが早々とかわして先頭に立った。しかしメイドイットマムが本橋騎手のステッキに応えて一完歩ずつ詰め寄ると、ゴール前で外から一瞬のうちに抜き去った。勝ちタイムは1分35秒0(良)。東京2歳優駿牝馬のあと、「東京プリンセス賞(大井1800メートル・外回り)向き」と本橋騎手は話していたが、全く異なるこの舞台でも力の違いを見せつけた形だ。

1馬身半差の2着がサーフズアップ、2馬身半差の3着は中団から脚を伸ばしてきたフークエンジェルだった。

メイドイットマムは5月11日に大井競馬場で行われる牝馬二冠目の東京プリンセス賞へ向かう予定だが、その結果次第では牡馬相手の路線に向かう考えもあるそうだ。

「浦和コースもうまく克服できましたが、大井の東京2歳優駿牝馬の勝ち方がすごく強くて、その時は内回りでしたが、外回りはすごく魅力的です。関東オークス(川崎2100メートル)よりも、東京ダービー(大井2000メートル・外回り)で牡馬を相手にしても、という考えが自分の中にあるので、これからの結果次第でオーナーさんと相談をして決めたいですね」と石井勝男調教師は話していた。

なお、メイドイットマムの4代母は1991年のエリザベス女王杯GI優勝馬リンデンリリーで、5代母が81年の東京3歳優駿牝馬(当時)の勝ち馬ラドンナリリーだ。40年の歳月を経てもなお続いている血のドラマにも魅了される。

取材・文 高橋華代子

写真 宮原政典(いちかんぽ)

Comment

本橋孝太騎手

(はくぼ開催で初の桜花賞でしたが)初日と2日目も遅いレースに乗せていただき、この景色には慣れていたので気になりませんでした。僕が一番苦しい時期にずっと乗せていただき助けてくれた厩舎なので、また結果を出したい。思い入れの深い馬でもありますし、より一層気を引き締めて乗りたいです。

石井勝男調教師

前走のクイーンカップは11着でしたが、上がりは2番目のタイムで走ったので、終いの脚がいいのはわかりました。前走が後ろからの競馬だったので、今回は小回りの浦和なので早めに動こうと騎手とは相談しました。素直で一生懸命走ってくれる仔なので、普段の調教をしっかりしてレースに臨むだけです。