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第21回若草賞土古記念

前半競り合うも後続を引き離す
  5馬身差で逃げ切り重賞連勝

グランダム・ジャパン(GDJ)3歳シーズンの第2戦、若草賞は、競馬場の移転にともない、今回から旧競馬場の愛称を付けた若草賞土古(どんこ)記念となった。

今回のメンバーで唯一重賞勝ちがある兵庫のサラキャサリンは、その兵庫クイーンセレクションが他馬を寄せ付けずの逃げ切りという印象的な勝ち方だっただけに、単勝1.6倍と断然人気。同馬を含め兵庫から2頭、ほかに浦和、船橋、佐賀から各1頭の遠征勢5頭が上位人気に支持された。

移転から1年近くが経過した名古屋競馬場は、ラチ沿い3、4頭分ほどを空けてレースが展開する形で落ち着いてきていたが、名古屋大賞典JpnIII(3月16日)が行われた前回の開催からラチ沿いを通っての逃げ・先行有利な馬場となっていた。

このレースは逃げ・先行馬が多い組み合わせとなり、果たして、人気のサラキャサリンが先頭に立つと、2番人気の浦和・キューティロメラも気合をつけてハナを奪おうかという勢いで競りかけた。しかし内枠でもありスピードがまさったのはサラキャサリンで、やや離れて3番手以下は、エイシンレゲンダ、ポーチュラカ、エイシンメヌエットらが続き縦長の展開となった。

向正面中間でキューティロメラの手応えが一杯になり、代わってポーチュラカが2番手に押し上げ前を追った。しかしサラキャサリンは直線を向いても単独先頭。直線半ばでさすがに脚色が鈍ったように見えたが、後続も同じような脚色になって差を詰めることができず、サラキャサリンがポーチュラカに5馬身差をつけて逃げ切った。さらに2馬身半差の3着に、兵庫から名古屋への移籍初戦だったエイシンメヌエットが入った。

早々と失速して11着に沈んだキューティロメラだが、「ハナに行けたらと思って勝負に行ったんですが、取り切れなかったぶん、早い段階で気持ちが切れてしまいました。ワンターンの競馬のほうがいいと思います」と吉原寛人騎手。

勝ったサラキャサリンは、前走、人馬とも重賞初制覇となった兵庫クイーンセレクションから連勝。GDJ3歳シーズンで期待となりそうだが新井隆太調教師は、「今日も初めての馬場でもしっかり走れているので輸送は問題ないんだが、実は前走から100メートル延びる1500メートルという距離には不安がありました。(今回の勝利で)オーナーさんからは『せっかくだからグランダムを目指そうか』という後押しもあるんですが、この後は距離が悩ましいですね」とのこと。「水沢(留守杯日高賞)はちょっと遠いですし……」となると、東海クイーンカップ(名古屋1700メートル)か、地元ののじぎく賞(園田1700メートル)という選択になる。

なお、2003年に3歳牝馬による重賞・若草賞として笠松競馬場で始まった当レースは、09年から福山競馬場での実施となり、同競馬場廃止にともない14年からは名古屋競馬場で行われてきた。冒頭のとおり今回から若草賞土古記念となったが、次回(2024年3月14日)からは古馬(4歳以上)牝馬の重賞へと条件が変わる。

取材・文斎藤修

写真早川範雄(いちかんぽ)

Comment

松木大地騎手

ラチ沿いの逃げ馬有利の馬場傾向でしたし、自分のペースでレースを運んだほうがいいので、逃げられればと思っていました。スローに落として持ち味を発揮するタイプではないので、馬を信じて4コーナーを回ってきました。前半競り合ったぶん、最後は脚が上がったけど、それでもがんばってくれました。

新井隆太調教師

普段から馬房ではおとなしくて、パドックに出るとテンションが高くなるんですが、前走の姫路のときよりは落ち着いていたと思います。ゲートに行っていたのでレースは見てなかったのですが、騎手がうまくリードしてくれて、自分の競馬はできたと思います。(逃げ残りの)馬場の傾向にも合ったと思います。