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第34回東京スプリントJpnIII

8歳でも久々のタイトル
  最大目標は同舞台のJBC

今年はJBCスプリントJpnIと同じ舞台ということで、この後に向けても重要な一戦、東京スプリントJpnIII。近年は新星が誕生するシーンもよく見られ、今年もJRAからは、右回り1200メートルに実績があり大井初登場のケイアイドリー(2番人気)や、大井デビューでJRA移籍後はさらに力をつけているアティード(3番人気)など、魅力あるスプリンターたちが注目を集めた。地方からも、昨年のこのレースでタイム差なしの3着に好走したギシギシが有力馬の一角(5番人気)として期待された。

そんな中、レースを制したのは一昨年の覇者で経験豊富な1番人気のリュウノユキナ。3日前にJRA皐月賞GIを制したばかりの横山武史騎手を背に、久しぶりのタイトルを勝ち取った。

好スタートを切ったギシギシが逃げ、ティアラフォーカスが押して2番手、リュウノユキナは3番手のインでレースを進めた。ケイアイドリーは好位、アティードは中団のイン、4番人気のオーロラテソーロが中団の外を追走していた。

直線に入ると、先行した2頭を前に進路が開かないリュウノユキナ。そこにケイアイドリーも伸びて立ちふさがったが、リュウノユキナの横山騎手はその外に進路を切り替えて応酬。ゴール前でケイアイドリーを差し切って3/4馬身差をつけ、1分10秒3のレースレコードで優勝した。1馬身差の3着には外から末脚を伸ばしたオーロラテソーロが入った。

2021年のクラスターカップJpnIII以来のタイトルで重賞3勝目としたリュウノユキナだが、その間には重賞で2着が6回もあり、陣営もはがゆい思いが大きかったことだろう。昨年、横山騎手が騎乗した2回もハナ差、3/4馬身差でいずれも2着。「良い馬なのですが、なかなか上手い騎乗ができずあと一歩だったので、勝つことができてとても嬉しいです」と満面の笑顔だった。

今回は、サウジアラビアからの遠征帰り、さらには転厩初戦という大きな環境の変化があったにも関わらずいつもの力強い走りを披露。8歳のベテランはまだまだ元気だ。

岩戸孝樹調教師は「自分の厩舎の方針でやりつつ、どんな馬なのか見極めながらと、本当に手探りで調整してきました。けっこう我が強い仔なんですよね。年齢を重ねても走れているというのは、その我が良い方に出ているのだと思います。とにかくホッとしました」と安堵の表情を浮かべた。次走は馬の状態を見て決めるとのことで、今年の最大目標はもちろんJBCスプリントJpnIだ。

2着ケイアイドリーの藤岡康太騎手は「スタートで寄られたが切り替えて思った通りのポジションでできました。良い反応はしてくれていました。2度目の地方競馬で落ち着いていたし頑張ってくれました」。3着オーロラテソーロの鮫島克駿騎手は「スタートで内の馬に挟まれて不利がありましたが、切り替えて外々を走りました。状態は良かったです」とそれぞれ振り返った。

地方馬は馬券に絡むことはできなかったが、メンバー中最速の上り35秒1を記録した4着のエアアルマス、そして「道中息を入れられなかったですね。まだ良化途上です」(矢野貴之騎手)という5着のギシギシはともに1分10秒台で駆けており見せ場も作った。さらに上を目指しここから秋に向けての走りに注目したい。

取材・文秋田奈津子

写真宮原政典(いちかんぽ)

Comment

横山武史騎手

海外帰りで不安もありましたが、調教に乗った時に状態の良さを感じたので自信がありました。最高の枠だったので僕がこの馬の能力を邪魔しないように騎乗するだけだと思っていました。直線では進路がなかったけど、もともと使える脚は長くないので結果的に待たされてタイミング良く追い出せましたね。

岩戸孝樹調教師

年齢的にも落ち着いていて大井も慣れているので到着してからもいつも通り淡々としていました。横山騎手のほうが馬のことを分かっているので彼に任せて安心して見ていました。最後はしっかり脚を使うイメージがあったので、伸びてきてくれると信じていました。高齢馬ですがまだまだ若いですよ。