直線独走し大差で圧勝
東海ダービーへ視界良好
昨年の東海クイーンカップは南関東からの遠征馬が1、2着に入ったが、今年は川崎のボルドーグリフォンも浦和のネメシスも実績的にいまひとつ。そういうメンバー構成になったのは、ここまで6戦6勝の成績を残しているセブンカラーズの存在があるからだろう。
ただ、セブンカラーズが目標としているのはグランダム・ジャパンのタイトルではなく、東海ダービー。例年ならば大型連休中に行われる駿蹄賞から進むのが王道になるのだが、今年の東海ダービーの実施日は、昨年より10日ほど前となっている。そのため陣営は、レース間隔がより長くなるこちらをステップレースとして選択。それは“万が一”に備えるためでもあった。
その“万が一”とは、ゲート入り。もともとテンションが高い面があるセブンカラーズは、ゲートのなかで体を動かす傾向がある。陣営は「駿蹄賞に出た場合、もしゲート再審査などの問題が生じると、出走停止期間によって東海ダービーへの道が閉ざされる」ことを危惧していたのだ。
この日も枠入り自体はスムーズだったが、ゲートのなかでは落ち着きがいまひとつ。スタートは他馬と互角で、内枠から先行策を取ったトーホウジェンマ、ターミバレンシアなどの外につける、これまでと違う形でレースを進めた。それでも向正面で馬群の外を走る姿は余裕十分。残り400メートル地点の手前で山田祥雄騎手がゴーサインを出すと一瞬のうちに先頭に立ち、そして後続の各馬を置き去りにしてしまった。
最後の直線では山田騎手が気合をつけるシーンもあったが、ゴール手前では手綱をゆるめる内容で7連勝を達成。2着に入ったナイトホークスとの差は2秒8もあった。
その勝ちかたは、単勝オッズこそ締め切り直前に1.0倍から1.1倍に動いたものの、負ける要素が見当たらないといったところ。管理する川西毅調教師は「レース後の息遣いも、これまでより良かったです」と笑顔で話した。
セブンカラーズは浦河の愛知ステーブルで育成され、前走のスプリングカップの後は石川県にある愛知ステーブル小松分場で調整された。牧場関係者に「いい体になってきました」と評価されているおよそ500キロの馬体には、まだまだ伸びしろがあるとのことだ。
一方、遠征馬はボルドーグリフォンが4着で、ネメシスは9着。地元馬で3着に入ったコチョウは若草賞土古記念に続いてグランダム・ジャパン対象レースで5着以内に入ったが、その件を今津博之調教師に話してみると、苦笑いが返ってきた。検量室前でレースを見ていた宇都英樹調教師は「(梅桜賞で2秒5差の2着だった)ウチのポリリンを出したら2着があったかな」と笑っていた。
つまりそれほど、セブンカラーズの存在は断然といえるもの。さらに他地区からの移籍馬が東海ダービーに出走するためには、転入後に2戦以上する必要がある。その条件なら無敗の東海ダービー馬が誕生する可能性は相当に高いと言っていいだろう。
というところではあるのだが、川西調教師はレース後の談話のなかで「油断しないように」と2度、口にしていた。
取材・文浅野靖典
写真早川範雄(いちかんぽ)
Comment
川西毅調教師
精神的に不安定なところがある点をちょっと心配していましたが、今日もゲートのなかでゴトゴトしていましたね。それでもスタートは速いので、いい位置で追走できたと思います。このあとは在厩のままで東海ダービー。体型も変わってきましたし、ダービーも通過点と言えるように進めていきたいです。
山田祥雄騎手
次元が違うという感じで、自分でもびっくりしています。短期放牧から戻ってからも調子がよさそうでしたし、徐々に競馬を覚えてきたという感じがします。今日はゲートを出てからの進みがいまひとつだったので、無理しないで3番手につけました。それでも追い出してからの反応がとてもよかったです。