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第24回兵庫チャンピオンシップJpnII

逃げて後続を置き去りに
  名手の手綱で人気に応える

今年の大型連休は入場制限なしで迎えた園田競馬場。7000人近いファンが詰めかけ、武豊騎手がテレビ番組でも絶賛した名物・タコ天にはメインレースのパドックの時間を迎えてもなお行列が絶えないほどの盛況ぶりだった。

これまでは周辺住民と相談の上、金曜日に限りナイター競馬を開催していたが、コロナを期にそれ以外の曜日にも薄暮開催をスタート。今年度は5月2日~8月17日まで、ナイター以外の日はすべて“そのだサマー競馬”と題した薄暮での実施で、兵庫チャンピオンシップJpnIIは夕方5時55分の発走となった。

多くのファンが注目する先にいたのはミトノオー(JRA)と武騎手。前走・伏竜ステークスは出世レースとしても有名で、コパノリッキーやクロスクリーガーなどがそこを勝って兵庫チャンピオンシップJpnIIも制覇した。近年こそ別路線組が台頭していたが、ミトノオーは好タイムで同レースを勝ったとなれば、単勝1.4倍の1番人気に支持されるのも当然と言えよう。

レースもミトノオーの独壇場。好ダッシュから先手を取ると、2番手にピタリとメイショウオーロラ(JRA)と横山典弘騎手がつけ、ベテラン2人がレースを引っ張る形になったが、気づくと1周目ゴール前ではミトノオーがじわりとリードを広げた。3コーナー手前で後続各馬もスパートをかけるが、差は縮まらない。セーフティリードで4コーナーを回り、直線は必要最小限の気合いだけつけられると、あとは流して6馬身差で勝利を収めた。

2着は4コーナーで外から鋭く差してきたキリンジ(JRA)。手綱をとった地元の下原理騎手は「向正面で促した時に行きたがろうとしなかったので、もう少し待とうかと思いました。でも、そこからエンジンがかかると速かったです」と、将来性を感じた様子。

3着にメイショウオーロラが粘り、4着はサンライズジークで「内が深いので外に出したかったですが上手くいかず、競馬になりませんでした」とミルコ・デムーロ騎手は肩を落とした。

地方馬最先着は兵庫三冠の一冠目・菊水賞勝ち馬のベラジオソノダラブ。その名の通り、園田への愛と看板を背負っての出走だったが、「勝負所まではいい手応えでしたが、3コーナー過ぎでなくなってしまいました。現状のレベルの差でしょう」と田中学騎手。兵庫ダービーでの巻き返しが期待される。


ミトノオーの父ロゴタイプは、産駒による嬉しいダートグレード初制覇。圧倒的なインパクトを残した孝行息子の次走は未定ながら、「バランスの良い走りで心臓も強そうなので、このまま成長してくれればもっと大きいところも狙える馬ではないかと思います」という武騎手の言葉とともに今後への期待が寄せられる。

取材・文大恵陽子

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

武豊騎手

小回りが初めてで大きい馬なので、ステップを間違えないように気をつけました。気持ち良さそうに走っていたので無理に抑えず、馬のリズムに合わせる形で乗りました。ずっと雰囲気は良く、後ろとの距離があるのは分かっていたので、直線を向いて手応えと後ろとの距離で大丈夫かなとは思いました。

牧光二調教師

輸送の影響もなく、いつもと変わりない状態で迎えられました。気持ちがグッと盛り上がる面があるので2走前からパドックでホライゾネットを着けていて、今日も落ち着いていました。レースはリズム良く運べたと思います。今後は未定ですが、一生懸命に走ってくれることがこの馬のいいところです。