第61回のじぎく賞

web furlong ウエブハロン

地方競馬のオンライン情報誌ウェブハロンPresented by National Association of Racing

Copyright(C) 1998-NAR.All Rights Reserved.

第61回のじぎく賞

早めに仕掛けて直線独走
  兵庫ダービーで世代頂点狙う

例年、のじぎく賞に出走する地元馬はグランダム・ジャパンを戦ってきた組と、兵庫三冠の一冠目・菊水賞を牡馬に混じって走った組に分かれる。

今年の場合、前者は佐賀のル・プランタン賞を勝ったマルグリッドや、名古屋・若草賞土古記念で逃げ切り勝ちを収めたサラキャサリンなど。そこに、菊水賞2着スマイルミーシャや同6着ヒメツルイチモンジが加わり、さらに遠征組からは水沢・留守杯日高賞1、2着のワイズゴールド(大井)、キャッツライズ(川崎)などがゲートインした。

戦前の注目はデビューから4連勝を果たしたスマイルミーシャ。前走の菊水賞2着で初めて黒星を喫したが、勝ち馬は大晦日に一度下したことのあるベラジオソノダラブ。着差は1馬身半ながら、立ち回り一つで逆転もあり得そうな内容でもあり、牡馬相手の堂々としたレースぶりから単勝1.6倍の1番人気に推された。そこにサラキャサリンが4.2倍で続き、5.6倍のワイズゴールドまでの3頭が10倍以下だった。

スタートは大方の予想通り、サラキャサリンが先手を取った。門別時代はワンターンの短距離戦を走っていた馬で、ダッシュを決めて気分よく逃げると、1周目ゴール板を通過する頃には後続を離した。2番手以下の馬群は2つに分かれ、前の馬群の中にいたスマイルミーシャは1コーナーで内に入って距離ロスを抑えた。

レースが動いたのは向正面に入ってすぐ。スマイルミーシャがロングスパートをかけると、4コーナー手前では早々に先頭に立った。そこからは独走。その後ろから差したマルグリッドに5馬身差をつけて重賞2勝目を手にした。

3着はワイズゴールド。勝負所で少しモタついたものの、直線でしっかり伸び、岡部誠騎手は「キレはしないけど、バテない脚を持っています。もう少し瞬発力がつけば、もっと上を目指せると思います」と初騎乗の感触を話した。4着はキャッツライズ、5着ヒメツルイチモンジで、逃げたサラキャサリンは7着。松木大地騎手は「テンの入りは良かったですけど、距離は少し長いかなと思います」と話した。

勝ったスマイルミーシャの飯田良弘調教師は「逃げ馬が気分よく後続を離していた分、早めに追いつかないと、という思いが吉村騎手にもあったと思いますが、1コーナーで冷静に内に入れて距離ロスを抑えてくれました」と、師匠の勇退に伴い2017年1月から厩舎所属となったジョッキーを称えた。

グランダム・ジャパン3歳シーズンは同日に大井で東京プリンセス賞が行われたことで、残すは川崎・関東オークスJpnII(6月14日)のみ。スマイルミーシャはそちらには向かわず、地元の兵庫ダービーで世代頂点を目指す。一方で、ポイント上位の馬たちは総合優勝を目指し、関東オークスJpnIIに挑むことだろう。最終戦は着順に応じたポイントが高く設定されており、結果次第で逆転もあり得る。

取材・文大恵陽子

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

吉村智洋騎手

菊水賞はしくじったと思ったので、今日は押し切れると確信して向正面から一気にスパートしました。直線も脚色が鈍ることなく、まだフワッとしていました。レース数を使っていなくて、気性面も含め粗削りな部分があります。直す部分が多いのは、伸びしろがあることでもあるので、成長を期待したいです。

飯田良弘調教師

2コーナーを回って自分からスパートをかけ、ねじ伏せる形だったと思います。前走から間隔があったことで、しっかり調教で攻めながら体も戻せました。距離が延びても折り合いは問題ないと思います。このあとは兵庫ダービーが目標で、1カ月ほど間隔が取れるのもいいと思います。