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第65回九州ダービー栄城賞

一冠目2着からの3歳頂点に
  鮫島調教師は重賞初勝利

九州ダービー栄城賞の1着賞金は、1991年以降(経営環境が厳しかった2005、06年を除く)は500万円の時代が長く続いたが、近年の売上好調を受けて19年から上昇傾向となり、昨年は1000万円の大台に。今年度は倍増の2000万円にとなった上に、三冠(佐賀皐月賞、九州ダービー栄城賞、ロータスクラウン賞)達成ボーナスも新設された。

ここまでの2歳、3歳重賞で、佐賀デビュー馬の勝利は地元デビュー馬限定戦以外では飛燕賞でのディーディーデイだけ。一冠目の佐賀皐月賞では勝ったネオシエルが門別デビューで、2着のテクノゴールドはJRAデビュー。3着には佐賀デビューのミヤノウッドリーと、他地区デビュー馬優勢で推移。九州ダービー栄城賞には佐賀皐月賞から7頭参戦し、単勝人気はネオシエルが1.4倍、テクノゴールド3.2倍、ミヤノウッドリー9.2倍。佐賀皐月賞の上位3頭が着順通りの人気に推される形となった。

スタートから積極的に行く馬がおらず、ネオシエルが先頭に立つ形になり、序盤はスローペースで先頭から最後方までほぼひとかたまりの流れに。中団の外を通っていたテクノゴールドが向正面に入ったところで上昇を開始し先頭を奪う勢い。一方のネオシエルは向正面でわずかに位置取りが下がったものの、テクノゴールドが上がってくると再び先頭を奪い、3コーナーから両馬が後続を引き離していった。

しかし、勢いにまさるテクノゴールドが4コーナーで先頭を奪うとそのまま押し切って勝利。1馬身1/4差の2着には4コーナーで3番手まで上がってきていたブレイブアモーレが直線伸びを欠くネオシエルを交わして浮上。以下、4着リネンマンボ、5着ルーンファクターと上位を他地区やJRAデビュー馬が占め、佐賀デビュー馬最先着はミヤノウッドリー(6着)となった。

テクノゴールドはJRAから1月に転入し、佐賀皐月賞で2馬身半差2着の後は鯱の門特別に出走し勝利を収め、2連勝での初重賞制覇。鞍上の和田譲治騎手は大井所属で、九州ダービー栄城賞を他地区所属騎手が勝ったのは今回が初。また、管理する鮫島克也調教師は騎手時代に九州ダービー栄城賞を5勝していたが、調教師(22年2月初出走)としては今回が重賞初勝利。「2番人気だったので変なレースはできないと思っていたので、まずはホッとしています。厩舎開業からここまで、あっという間でした」と心境を語っていた。

3着に敗れたネオシエルは先頭に立つと気を抜く性格で、逃がされた形となる今回は「レースが終わったあともケロっとしており、全然力を出せていませんでした」(真島元徳調教師)と、不完全燃焼の一戦だった。

三冠目のロータスクラウン賞は、西日本ダービーが佐賀開催となる関係で、8月13日と史上最も早い開催となっており、ここまでの上位勢力による再戦の構図となりそうだ。

取材・文 上妻輝行

写真 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

和田譲治騎手

この馬との折り合い重視で乗ろうと思っていて、上手いこと中団で外の方に出れたので、後は馬のリズムを大切にして、直線伸びることを祈って乗っていました。前半はスローペースで1コーナーまで我慢してあそこから自分で競馬を作ろうと思っていました。

鮫島克也調教師

この馬が厩舎に入って来たときからダービー狙いでやってきました。佐賀皐月賞は休養明け初戦で動きが重かったのですが、鯱の門特別を使ってからギリギリに仕上げてきました。佐賀ユースカップは回避すると思いますが、ロータスクラウン賞へ向け調整していきます。