web furlong ウエブハロン

地方競馬のオンライン情報誌ウェブハロンPresented by National Association of Racing

Copyright(C) 1998-NAR.All Rights Reserved.

第27回さきたま杯JpnII

ゴール前一気に差し切る
  目指すはJpnIタイトル

今年27回目を迎えたさきたま杯JpnIIは地方・JRAから好メンバーが集った。全日本的なダート競走の体系整備により、来年からはJpnIに格上げすることが発表されている。

人気はJRAの3頭に集中した。単勝オッズで5倍を切ったのは、同じ距離のテレ玉杯オーバルスプリントJpnIIIをはじめ4つのダートグレードを制しているシャマル、目下3連勝で勢いに乗るコンシリエーレ、国内外で3つの重賞勝ちを収めているバスラットレオン。

そんななか、大井の笹川翼騎手が騎乗した兵庫のイグナイターが差し切りV。10頭立て7番人気と低評価だったが、NARグランプリ2022・年度代表馬の意地を見せつけた形だ。

笹川騎手は前走のかしわ記念JpnIも手綱を取り、その時は追い切りに騎乗したことがインターネットメディアなどでも取り上げられた。イグナイターに跨るのはその追い切りも含めて3回目。笹川騎手は「小回り向きな器用さがあって本当に乗りやすい馬で、それが存分に生かされたと思います。力もあるし、賢くていい馬です」と称えていた。

注目の先行争いは、的場文男騎手が初騎乗のギシギシがハナを主張。2番手にスマイルウィとバスラットレオン、その後ろのインにイグナイター、さらにはコンシリエーレ、テイエムサウスダンが併走していった。

この位置取りについて笹川騎手は「前回よりもスタートで少し遅れましたが、想定する位置で運べることができました。前に強い馬もいたのでマークする形。4コーナーを向く前に手応えが良かったので、自分が焦らずしっかりと馬のリズムを守ることができれば、最後まで一生懸命走ってくれると思いました」とコメント。

3コーナー手前でギシギシの手応えがいっぱいになると、スマイルウィが先頭へ。イグナイターも食らいついていき、最後の直線でバスラットレオンを競り落とし、船橋のスマイルウィをクビ差抜き去ったところがゴール。なお、シャマルは右後肢ハ行により競走を中止した。

昨年はサルサディオーネとティーズダンクで決まったが、今年も地方所属馬のワンツー。

イグナイターは昨年5月のかきつばた記念JpnIII以来となるダートグレード制覇だった。兵庫から全国の舞台に挑戦し続け、現在の地方競馬総大将の座を揺るぎないものにしている。この後は夏休みに入り、秋にはマイルチャンピオンシップ南部杯JpnI、JBCスプリントJpnIを狙っていきたいそうだ。

なお、スマイルウィにとっては悔しい結果に終わったが、ダートグレード初挑戦でも力があることは十分に示した。昨年から全て2着以内という驚異的な安定感を見せている。これから大舞台での活躍を期待したい。

取材・文高橋華代子

写真宮原政典(いちかんぽ)、NAR

Comment

笹川翼騎手

(跨るのは3回目で)ある程度理解していたところもあったし、前回うまくいかなかったことを修正できたのも大きかったです。日頃この馬に携わっている園田競馬の関係者の方々。調教師さん、厩務員さん、ジョッキーの方がいてこそ勝たせていただきました。馬も歯をくいしばって頑張ってくれました。

新子雅司調教師

園田によく似たような感じの馬場ですし、枠も良かったので、なんとかなるんじゃないかなと。パドックの雰囲気もすごく良かったので、ちょっと自信がありました。理想的なレースをジョッキーがしてくれました。スピードがあって4コーナーをいい感じで行けば、直線伸びてくれるのがいいところです。