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第27回北海道スプリントカップJpnIII

ハイペースの直線勝負で差し切る
  馬体増も得意の右回りで能力発揮

10頭立ての少頭数にはなったが、昨年このレースからJBCスプリントJpnIを制したダンシングプリンスをはじめ、地元勢も前哨戦といえるエトワール賞の上位馬が揃って見ごたえのある一戦となった。

内目の枠に逃げ・先行馬が揃い好ダッシュを見せたのは59キロを背負うダンシングプリンスだったが、その内のスペシャルエックス、ジャスティンも譲らず先行争いとなっての前半3ハロンが33秒7という超ハイペースで縦長の展開。これが結果を大きく左右することになった。

離れた4番手にアイオライト、スティールペガサスが併走し、ダッシュがつかなかったケイアイドリーも徐々に位置取りを上げてきた。レースの後半3ハロンは38秒0もかかって、前で競り合った3頭と、4番手以下の3頭が直線でそっくり入れ替わるという結果。

中でも直線での伸びが際立ったのがケイアイドリーで、残り200メートルで突き抜けての勝利。アイオライトが追ったものの1馬身半差で2着。地元期待のスティールペガサスも食い下がったが1馬身差3着。4コーナーでも最後方だったジャスパーシャインも4着に突っ込み、前半競り合った3頭は5~7着に沈んだ。

勝ったケイアイドリーは、馬体重プラス16キロと発表されて人気を落としたが、「栗東からの輸送では熱を出すので、一度函館に入れて元気な状態で出走させようと、そのあとは引き運動だけだったので、半信半疑なところはありました」と村山明調教師。今回は先行争いが激しくなったことで、直線での切れを生かせるという展開に恵まれての重賞初制覇。ここまで7勝がすべて阪神のダートで、「大井の東京スプリントでも2着があって右回りのコーナー2つのコースが合うので、次は東京盃から、JBCスプリントに行けるかどうか」と村山調教師。

2着アイオライトの岩田望来騎手は「前が速くて追走に苦労した感じはありましたけど、直線に入ったらいい雰囲気では走れていました。ベストは1400ですね」とのこと。

昨年に続いて落合玄太騎手の手綱で連覇がかかったダンシングプリンスだが、好スタートを切ったものの59キロで先行争いに巻き込まれてはさすがに厳しかった。「このあとも斤量を背負わされるので(定量の)JBCスプリントを目指していく」と宮田敬介調教師。

さて、中央地方の交流黎明期からダートグレードの古馬(3歳以上)短距離戦として27回の歴史を重ね、2000年には13歳のオースミダイナー、20年には10歳のメイショウアイアンと、地元北海道勢も勝ち馬に名を刻んだこのレースだが、来年から3歳限定の短距離路線へと条件変更となる。「最後だから、勝ちたかった……」と、それ以上言葉が出てこなかったのが、3着スティールペガサスの角川秀樹調教師。5着だった昨年以上の状態で臨んでいただけに、その悔しさは相当なものだったようだ。

取材・文斎藤修

写真浅野一行(いちかんぽ)

Comment

藤岡康太騎手

いい枠順だと思っていましたし、想定していた展開の中でもかなりいい形で運べているなと思っていました。道中から手応えもよくて、どのタイミングで外に持っていこうかと選べる感じで、直線を向いた時にも手応えがよかったですし、期待したとおりの脚を使ってくれました。

村山明調教師

スタートが速い馬なんですが、最初ちょっともっさりしていたかなという印象で、それでも4コーナーを回るときにはいつもの手応えかなと見ていました。得意の阪神で勝つときも直線で切れる感じで勝ってたので、この馬の力を出してくれたと思います。