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第8回早池峰スーパースプリント

直線難なく突き放し6馬身差
  岩手の短距離で無敵の3連覇

岩手競馬は開催日程の都合で、同じ重賞でも年によって盛岡か水沢かで舞台が変わることがある。スーパースプリントシリーズの一戦として実施されている早池峰スーパースプリントは、2016年の第1回から第5回までは盛岡1000メートルで争われたが、21年からは水沢850メートルが舞台となって3年目。偶然なのか、この舞台を狙ってのことなのか、2年前に中央から転入したキラットダイヤが圧倒的なスピードで3連覇を達成した。

出走10頭全馬がほぼ互角のスタートを切ると、先頭に立ったのはやはりキラットダイヤだった。ひとつ内枠のアヴェントゥリストに抵抗されたが、二の脚の速さが違っていた。

3コーナー過ぎ、先頭のキラットダイヤに1馬身ほどの差で食らいついたのはアップテンペストだけで、3番手以下はやや差が開いた。このあたりですでに手応えの差は歴然。ほぼ持ったままのキラットダイヤに対し、アップテンペスト鞍上の高松亮騎手は懸命に手を動かしていた。

直線を向いて軽く気合を入れられると、キラットダイヤはあっという間に後続との差を広げ、直線半ばからは手綱を抑えて余裕のゴール。2着アップテンペストは6馬身差。水沢850メートル3戦3勝で2番人気に支持されたカタナは、アップテンペストをとらえることができず半馬身差で3着だった。

キラットダイヤの勝ちタイム49秒5は、同じ稍重だった昨年をコンマ1秒だけ上回るもの。2着との着差も昨年が7馬身に対し、今年が6馬身だから、ほとんど同じパフォーマンスを発揮した。「今年は船橋で一戦使われてきたぶん、こちらに来てからもすごく順調で、楽に仕上げられた」と、みずから調教をつけているという板垣吉則調教師。「これから暖かくなればベストの状態に戻ってくるでしょう」と、期待はまだこれからのようだ。

前走4月の船橋1200メートル戦は5カ月の休み明けでもあり、逃げて直線失速し4着に敗れていたが、岩手の1200メートル以下では、中央相手のJBCを別とすれば、これで8戦全勝。一昨年の転入2戦目となった早池峰スーパースプリント以降、水沢・盛岡で手綱をとっているのはすべて鈴木祐騎手。「今日は少し仕掛けていったら行き過ぎた感じでしたが、直線でもしっかり反応してくれました。1200メートルになれば、ゆっくり出して、別に逃げる必要もないです」とのこと。中央時代の好走は1000メートルのみで、1200メートル以上は惨敗という極端な成績。しかし盛岡1200メートルでは、JBC以外、5戦すべて2着に1秒以上の差をつけての圧勝続き。鈴木騎手はこの馬の戦い方を完全に手の内に入れているようだ。「一番いい時と比べると、まだ6~7割じゃないですかね。(6歳でも)まだまだ成長していると僕は感じています」(鈴木騎手)とのこと。岩手の短距離路線での圧倒的な地位はまだ揺るぎそうもない。

取材・文斎藤修

写真佐藤到(いちかんぽ)

Comment

鈴木祐騎手

今日はハナに行くつもりでしたが、スタートはみんな出ていたので、内の馬を交わすのにちょっと仕掛けたら思ったよりリードを取りすぎた感じはありました。それでも手ごたえはあったので、あとは押し切るだけという感じです。すごくポテンシャルの高い馬なので、この先も活躍してくれると思います。

板垣吉則調教師

この馬なりにスタートを出てくれたので、大丈夫かなと思って見ていました。昨年のいい頃に比べると、まだそこまでの状態ではないので、これからもっとよくなる感触はあります。このあとも昨年と同じ、岩鷲賞でも3連覇を目指したいと思います。