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第69回東京ダービー

破格の走りはまさに怪物
  史上2頭目無敗の三冠へ

全日本的なダート競走の体系整備により、南関東同士で行われる東京ダービーは今年が最後。そんな歴史の転換点に怪物が現れた。

三冠初戦の羽田盃を6馬身差で圧勝したミックファイア。休み明けながら無傷の4連勝で初タイトルを獲得。しかも1800メートルで行われた同レースでは最速となる勝ちタイムをマークするなど、それだけでも怪物級の評価に値する走りだった。ただ、マイナス16キロの馬体重での激走に反動が出る不安はぬぐい切れず、再度あの走りができるのか、真価が問われるダービーとなった。

コロンバージュが競走除外となり15頭立て。羽田盃と同様、2番手につけたミックファイアは少し行きたがる面を見せたが、御神本訓史騎手がなだめ、その位置で折り合う。勝負どころでヒーローコールが早めに並びかけてきたのを合図に加速すると、4コーナーで先頭へ。あとは他馬を突き放す一方だった。

まるで羽田盃のVTRを見るかのような6馬身差の衝撃。勝ち時計2分4秒8(重)も羽田盃と同じく過去最速で、2週間前に同じ重馬場で行われた古馬重賞・大井記念を0秒4上回った。正真正銘の怪物がここに誕生した。

初の東京ダービー制覇となった御神本騎手は「南関同士では最後ですし、人気に推されていたので、思うものはたくさんありました。非常にうれしく思います」と喜びをかみしめる。「とんでもないスケールの馬。無事に、このまま成長していってほしいと思います」と、さらなる成長に期待を寄せた。

管理する渡邉和雄調教師も東京ダービー初制覇。蹄の不安から休養に入り、羽田盃から始動するという難しい調整だったが、「今回のほうが順調だったので、同じようなスムーズな競馬ができれば結果を出してくれるのではないかと思っていました」と話す。状態に問題がなければジャパンダートダービーJpnIに向かう予定で、「来月もまたファンの皆さんから、さらに大きな歓声をもらえるように頑張りたい」と、2001年のトーシンブリザード以来、史上2頭目となる無敗での南関東三冠達成へ意気込みを見せた。

2着には、羽田盃と同じくヒーローコールが入った。6、7番手の追走から早めに押し上げ、3コーナーでミックファイアに並びかける積極的な競馬を展開したが、再度6馬身差をつけられた。森泰斗騎手も「ペースが遅く早めに捕まえにいったのですが……。勝った馬を褒めるしかないですね」と脱帽。それでも2着に踏ん張った内容は悪くなく、実績を振り返ってみても世代上位の力があることは間違いない。まだまだタイトルを積み重ねられるだろう。

南関東の三冠馬は過去に7頭。1967年のヒカルタカイを皮切りに、その時代を彩る名馬が名を連ねている。最後の一冠はJRA勢が相手だが、渡邉調教師も「強力な馬がたくさんいるので楽ではないですが、今日のレースを見たら対等に戦える能力はあるのではないかと思います」と自信をのぞかせる。史上8頭目の金字塔を打ち立てるべく、南関の怪物がジャパンダートダービーJpnIを目指す。

取材・文大貫師男

写真宮原政典(いちかんぽ)

Comment

御神本訓史騎手

前回も馬のリズムを崩さずに折り合いを重視して騎乗しましたが、今回はペースが遅く、休み明け2走目ということもあって力みながらでした。それでもうまく走ってくれたと思います。手応えが良く、はじけ方もすごかったですが、最後までしっかりと追いました。とんでもないスケールの馬です。

渡邉和雄調教師

いつも発汗が目立って落ち着きがないように見えるのですが、羽田盃と比べればマシで歩きもスムーズだったので、あの状態をキープしてゲートインしてくれればなんとかなると思っていました。これだけの馬なので馬の体調第一ですが、無事に三冠の舞台までたどり着かせてあげるのが次の目標です。