web furlong ウエブハロン

地方競馬のオンライン情報誌ウェブハロンPresented by National Association of Racing

Copyright(C) 1998-NAR.All Rights Reserved.

第51回北海優駿(ダービー)

余裕の走りで後続を完封
  次元の違う強さで三冠へ

昨年2歳時からホッカイドウ競馬の世代ナンバーワンという評価のベルピットが迎えた3歳シーズン。初戦の3歳特別戦を8馬身差で楽勝。一冠目の北斗盃は初経験となる内回り1600メートルもまったく問題にせず、後続を楽に突き放して7馬身差の圧勝。3歳になっての充実ぶりを見せていた。

そして迎えた北海優駿。地元勢同士なら勝負付が済んだメンバーでやや興味に欠けるレースになったであろうところ、南関東から浦和のキングオブザナイルが遠征してきた。東京ダービートライアルで惜しくもクビ差2着に敗れたためここに矛先を向けてきたが、勝ったナンセイホワイトは東京ダービーで3着に好走。南関東とのレベル比較という意味でも興味深い対戦となった。しかしそれでもベルピットは単勝1.1倍という断然の支持を集め、キングオブザナイルは5.2倍。北斗盃2着のあと古馬相手の特別戦を制したニシケンボブが12.5倍という人気。

スタートしてキングオブザナイルがハナをとったのは予想通りだが、意外だったのはベルピットがこれに絡んできたこと。スタンド前から2コーナーあたりではかかっていくような素振りを見せた。向正面に入ると流れが落ち着いたが、3番手のズンガリプテルスは前2頭から3馬身ほども離れ、そのうしろもさらに離れて縦長の展開となった。

注目人気2頭の勝負は早くも3コーナー手前でついた。鞍上の手綱が激しく動き出したキングオブザナイルに対して、ベルピットの桑村真明騎手は我慢できないとばかりに抜群の手応えのまま先頭に立つ。そして離れた中団から3~4コーナーで一気に差を詰めてきたのがニシケンボブ。しかしベルピットは直線を向いて桑村騎手が軽く気合を入れると、セーフティリードを保ったまま、ニシケンボブに3馬身差をつけてのゴール。3着ズンガリプテルスには大差がつき、キングオブザナイルは6着に沈んだ。

北斗盃の7馬身差から差は詰まったが、その着差はあまり意味がない。ベルピットは「抜け出してからは遊んでいるような感じ」(桑村騎手)で、うしろが来れば来るぶんだけまた伸びてのゴールが3馬身だったというだけのこと。

前半1000メートルが61秒9に対して、後半は66秒0もかかっての勝ちタイムは2分7秒9。やはり人気2頭が競り合った前半は厳しいペースで、それについていかずペースが落ち着いた向正面中間から位置取りを上げていったニシケンボブの石川倭騎手は、ペースを読んだ好判断だったといえるだろう。それだけに、直線遊ぶような走りで楽勝したベルピットの強さが際立つレースとなった。

次走について角川秀樹調教師は「王冠賞直行になると思います。そのあとは、馬主さんはダービーグランプリと言うのでは」とのこと。

今年のダービーシリーズでは、東海ダービーのセブンカラーズ、東京ダービーのミックファイア、このあとに行われる高知のユメノホノオ、金沢のショウガタップリなど、無敗かそれに準ずる圧倒的な成績を残している素質馬が各地にいるが、ベルピットも含めて、今後の交流戦線でそれらの直接対決が楽しみになるところ。角川調教師は、「東京ダービーで強い勝ち方をした馬がいますけど、おそらく能力的にはヒケをとらない、自分は一番強いと思っています。あとは無事にレースに臨めるかどうかですね」と、ベルピットに対する自信は揺るがない。

取材・文斎藤修

写真浅野一行(いちかんぽ)

Comment

桑村真明騎手

スタンド前から2コーナー手前くらいまでハミをかみ過ぎて折り合いを欠いてしまったので、向正面で息が入ったのはよかったです。ぜんぜん集中してない感じで走っていたので、まだまだ強くなれると思います。(王冠賞には)今日以上のデキで臨めるよう、三冠目指して頑張ります。

角川秀樹調教師

外枠だったので包まれる心配はないと思ったのですが、包まれないぶん、道中かかったりして、ジョッキーは苦労したと思います。2歳のときから厩舎に戻ってから息が入るのが早く、「ほんとにレースを走ってきたの?」というくらい、心肺機能の強さは素晴らしいと思います。