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第13回園田FCスプリント

好スタートから直線突き放す
  永井騎手は7年目重賞初制覇

朝方の雨により、前日の良馬場から一気に不良馬場へと悪化した園田競馬場。ダノングッド(高知)が2連覇中の園田FCスプリントは、同馬が脚部不安で約5カ月の休養明けということもあり、一気に混戦ムードが漂った。

とはいえ、これといった台頭候補も見当たらず、1番人気はダノングッドで単勝2.4倍。一昨年に重賞・兵庫ゴールドカップで2着の実績があるメイプルグレイトが3.8倍で続き、同馬相手に前走は49キロの軽量を生かして勝ったメイプルシスターが3番人気。当レース3、2着と好走歴のあるダノンジャスティス(高知)、2歳時から南関東短距離で活躍のジョーロノ(高知)までの5頭が10倍以下のオッズでひしめき合った。

スーパースプリントシリーズ(SSS)7戦の中で最も短い820メートルで行われる当レース。好スタートを切ったのは内枠のメイプルシスターだった。4連勝のうち直近3勝は逃げてのもので、ここでもすぐさまスピードに乗ると、超短距離戦ながら2番手に約1馬身つけての逃げ。3連覇を目指すダノングッドはダッシュがつかず後方からとなった。

楽に先手を取れたメイプルシスターは3~4コーナーで少し息を入れると、直線では後続を突き放して5馬身差で勝利。上から2番目のクラスにあたるA2格付けながら、重賞初制覇を飾った。

2着には大外枠で外を回らされながらもパーが脚を伸ばして地元馬のワン・ツー。田中学騎手は「もう少し内枠が良かったですけど、最後はしっかり走って健闘はしています」と、珍しく枠順を悔やんだ。

過去12回中5勝(2018年カイロスは同着優勝)を挙げる高知勢だが今年は3着ダノンジャスティスが最先着で、ジョーロノはレース中に鼻出血を発症し8着、ダノングッドは休養明けが響き10着だった。

勝ったメイプルシスターの永井孝典騎手はデビュー7年目で重賞初制覇。中学1年生でジョッキーベイビーズ決勝に東海地区代表として出場し、騎手デビュー後は20年に笠松・ゴールドジュニアでコスモピオニールに騎乗しクビ+クビ差の3着と、重賞へ手が届きかけたが、そこからが長かった。その後も僅差で重賞2着が2度あった中、今回は乗替わりで見事に決めた。

馬上で何度もガッツポーズを作る永井騎手に呼応するように右手を天に突き上げたのは大山寿文調教師。「うちの厩舎のクセ馬などずっと調教に乗ってくれていて、地道に努力するジョッキーです。今回、オーナーにお願いして乗せていただき、永井騎手もプレッシャーを跳ね除けて勝って、褒めてあげたいです」と喜んだ。

メイプルシスターの今後は、SSSファイナルの習志野きらっとスプリントを選択肢の一つに入れながら「状態を見て、オーナーと相談したいです」と大山調教師。その後は1400メートルへの距離延長も考慮したいとのことで、4歳牝馬の可能性は広がっていく。

取材・文大恵陽子

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

永井孝典騎手

嬉しいのひと言です。ゲートだけ決めたらチャンスがあると思い、スタートに集中しました。3コーナーで息を入れる余裕がありましたが、直線は必死で「後ろから来るな」と追っていました。重賞は何度もチャンスをいただいていて、「早く勝ちたい」と思っていたので、やっとという思いです。

大山寿文調教師

追い切りでは僚馬メイプルグレイトを煽るくらいで、抜群の状態に自信を持っていました。スピードがあるので、五分のスタートを決めて、どこかで脚を溜められれば、直線はもう1回伸びる馬だと思っていました。永井騎手と勝てて、本当に嬉しいです。