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第46回帝王賞JpnI

直線は3頭の追い比べ
  史上初の帝王賞連覇

大井競馬場にジーワンの熱気が戻ってきた。4年ぶりに入場制限のない帝王賞デー。真夏のような暑さにもかかわらず開門から多くのファンが訪れ、約18,000人が上半期ダート頂上決戦を堪能した。

3月のドバイワールドカップGIを制覇したウシュバテソーロは不在だったが、一昨年の優勝馬テーオーケインズ、昨年の優勝馬メイショウハリオに、2022年ジャパンダートダービーJpnIを制したノットゥルノ、22年チャンピオンズカップGIで頂点に立ったジュンライトボルトと、JRA7頭中、4頭がGI/JpnI馬。また、ここまでGI/JpnIで2着2回の4歳馬クラウンプライドや、勢いのあるプロミストウォリア、ハギノアレグリアスなど豪華メンバーが集結した。

プロミストウォリアが先手を主張し、川崎のライトウォーリアが2番手でぴったりマーク。クラウンプライドが3~4番手の内を追走し、先行集団の後ろにノットゥルノ、テーオーケインズ、ハギノアレグリアス、ジュンライトボルトが続いた。メイショウハリオは後ろから4頭目でレースを進めていた。

3コーナーで仕掛けたのはハギノアレグリアスで、「早めに動いて押し切りたいと考えていました」(岩田望来騎手)と外から上がっていくと、馬群は詰まり、固まった隊列で直線へ。

残り200メートルあたりで内からクラウンプライドが先頭に立つと、それをめがけて、テーオーケインズが中から伸び、大外からはメイショウハリオが鋭い末脚で迫ってきた。手に汗握る3頭の追い比べに場内からは大歓声。そして見事勝利を手にしたのはメイショウハリオだった。クラウンプライドがハナ差の2着、さらにアタマ差の3着にテーオーケインズという結果となった。

名勝負といえる大接戦を制したメイショウハリオは、帝王賞JpnI史上初の連覇という快挙達成。前走のかしわ記念JpnIに続き、JpnI・3勝目を飾った。

この開催の大井競馬の馬場は時計が速く、前残りという傾向。にもかかわらず、道中は後方追走で、直線は追い込んで勝ち切るのだから恐れ入る。そして濱中俊騎手がこの馬の力を信じた結果でもあろう。「直線の伸びが良い馬なので、その長所を活かすように前半はゆっくり行きました。勝負どころで外に出してからは手応えも良かったですし、ラストもしっかり走ってくれました」と濱中騎手は笑顔で振り返った。

また充実一途のメイショウハリオを岡田稲男調教師はこう評価した。「距離は1600メートルから2000メートルまで大丈夫です。前走で左回りもクリアしてくれましたし、現状では大きな課題はありません。ほぼ完成形ですね」

この後は放牧に出し、下半期のローテーションはオーナーと相談とのことだが、9月10日にソウル競馬場で実施されるコリアカップGIIIがプランの一つにあるそうだ。「来年は世界にも挑戦したい思いがあります。飛行機の輸送に慣れることを考慮して韓国遠征も考えています」と岡田調教師。幅広い選択肢の中で、メイショウハリオが今後どのような道を歩んでいくのか夢はふくらむばかりだ。

2着のクラウンプライドは、またもや僅差でGI/JpnI勝利に手が届かなかったが力は示したレースだった。「最後まで良い内容で走ってくれました。着差が着差だけに勝たせてあげたかったです。強い3頭の中で、今日は勝った馬が運を持っていました」と川田将雅騎手はコメントした。

3着テーオーケインズの松山弘平騎手は「ゲートでトモを滑らせてしまいました。道中もスローで持ち味を活かせませんでした。1枠が仇になってしまいましたね。状態が良かっただけに悔しい気持ちです」と唇を噛んだ。

4着馬は4馬身離れているだけに他陣営からも「この上位3頭が強い」という言葉が聞かれた。今後この着差、着順がどうなっていくのか、そして世界のウシュバテソーロとの再戦も大注目となることだろう。下半期のダート戦線が今から楽しみだ。

取材・文秋田奈津子

写真いちかんぽ(早川範雄、国分智)

Comment

濱中俊騎手

パドックや返し馬から状態の良さを感じたし自信を持ってレースに臨みました。直線ではクラウンプライドが良く見えたのでなんとか交わしてくれと。ゴールした時は勝ったかどうかわかりませんでしたが本当に頑張ってくれました。帝王賞連覇は初めてということで、次こそは中央のGIを獲りたいですね。

岡田稲男調教師

今日は申し分のない状態でした。ゲートも出てくれて自分のペースでゆったり行けて勝負どころで上がっていくという理想のレースを濱中騎手が完璧にしてくれました。大井の直線はこんなに長いのかと思いましたね。ゴール前は届かなかったかなと見ていましたがスローVTRを見て、やった!となりました。