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ヤングジョッキーズシリーズ TR 佐賀

小沢騎手が佐賀初騎乗で2連勝
  地元騎手も意地見せ2戦とも2着

7年目となるヤングジョッキーズシリーズ(YJS)が7月4日、佐賀競馬場で開幕した。今年のトライアルラウンド(TR)は10月11日笠松まで約3カ月と例年より短期決戦。それだけに勢いが結果に反映されそうな一方、参加騎手にとっては集中力を持って挑めるとも言えるだろう。

佐賀競馬では6年連続で新人騎手がデビューし、一気に若手が増えたとあって、TR佐賀出場の地方騎手7名中5名が地元所属。そこにデビュー5年目で今年がラストイヤーの兼子千央騎手(金沢)と、今年4月デビューの山本屋太三騎手(兵庫)が加わった。

紹介式を前に出場騎手スマホリングがファンに先着順でプレゼントされたのだが、1、2を争う人気だったのは青海大樹騎手(佐賀)。2021年10月に兵庫でデビューし、期間限定騎乗を経て今年3月に佐賀へ移籍したのだが、彼の名入り特製シャツを自作するファンもいるほどで、佐賀のファンから愛されていることが窺える。

第1戦は逃げ・先行馬多数のメンバー。騎乗馬が3戦連続900メートルを使ってきた加茂飛翔騎手(佐賀)が外から積極的にハナを取り、前日に函館から九州入りした大久保友雅騎手(JRA)、1番人気の河原田菜々騎手(JRA)が続いた。それら3頭を見る位置につけたのが小沢大仁騎手(JRA)とワッチャネイムで、直線でも逃げていた加茂騎手を内から交わすと、3/4馬身差で勝利。

2着加茂騎手は「ゲートで後手を踏んでしまいましたが、力強く前に行って、馬場も味方しました」と振り返り、3着にはこれが地方初騎乗だった河原田騎手で、「前走で騎乗した出水拓人騎手に返し馬から丁寧に教えていただき、内を空けるコースも意識しました」と話した。4着大久保騎手は「僕のミスで出遅れてしまいましたが、二の脚が速く、最後まで頑張ってくれました」と振り返った。

勝った小沢騎手はこれが佐賀初騎乗。「先生から『出していくと最後に甘くなる』と聞いた上で、理想的な位置が取れました」と笑顔を見せた。そこに悔しそうな表情で近づいてきたのは、同じ年にデビューした角田大和騎手(JRA)。差してはきたものの小沢騎手には届かず、「僕が追いつけばいいだけだったのですが」と言うと、「追いつけるものなら追いついてください(笑)」と小沢騎手もカメラの前でニヤリ。この二人の戦いは第2戦でも続くこととなった。

その第2戦は打って変わって有力馬の多くが差し馬。高知時代から逃げが持ち味の馬に騎乗した河原田騎手が先手を取り、その外に小沢騎手とサクラトップキセキが続いた。小沢騎手は4コーナーで先頭に並びかけると、後方から内を突いて追い上げた合林海斗騎手(佐賀)を振り切り、1馬身半差をつけて危なげなく2連勝。

そして、3着はここでも差し脚を伸ばすも届かなかった角田騎手で、第1戦と似た結果となり、ゴール後には思わず小沢騎手に声をかけたという。報道陣の前に現れると、「負けたっ!」と顔をクシャクシャにして悔しさを滲ませた。対して勝った小沢騎手は「僕が上手く乗ったというより、馬が頑張ってくれました」と謙虚な笑顔。とはいえ、先行馬が少ない中、積極的なレース運びは勝因の一つだっただろう。4着に河原田騎手が粘り、5着に差した山田義貴騎手(佐賀)は「砂を被って嫌がり、外に出しましたが……」と1番人気ながら不完全燃焼だった。

暫定順位はもちろん2連勝の小沢騎手がJRA西日本1位で60ポイント。早くもファイナルの舞台が見えてきた。2位にルーキー・河原田騎手が27ポイントでつけ、3位に角田騎手25ポイントとなった。

地方西日本では2着・9着の加茂騎手と9着・2着の合林騎手が22ポイントで1位タイ。そこに2戦とも6着の中山蓮王騎手(佐賀)が16ポイントで続いている。

ルーキー・山本屋騎手は「これまで逃げ・先行でしか勝ったことがなくて、減量を生かした乗り方をしてしまいます」と、減量特典のつかないYJSに苦戦した模様。それでも現時点ではあと3戦の騎乗予定があり、「怪我なく最後まで戦えるよう頑張りたいです」と前を向いた。

戦いは始まったばかり。次回のYJSは再来週17日に高知競馬場で行われる。

取材・文大恵陽子

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

第1戦/第2戦1着 小沢大仁騎手(JRA)

第1戦の騎乗馬はこれまでそろっと大切に位置を取る競馬をしていたので、今回もそれを意識しました。第2戦は過去のレースから追ってからワンペースな馬だと感じたので、後ろを待つより自分でペースを作り、自信を持って乗りました。勝てて気持ちよかったですし、佐賀はお客さんも温かかったです。