逃げて1番人気を振り切る
3歳馬が新スプリント王に
ホッカイドウ競馬の古馬(3歳以上)スプリント重賞で、唯一の1000メートル戦。昨年まで3連覇した“1000メートルの申し子”アザワクを、引退レースの道営スプリントで負かしたのがスティールペガサスだ。今年度はエトワール賞を勝ち、北海道スプリントカップJpnIIIは中央馬と互角に闘い3着。“道営スプリント界”のトップに躍り出て、単勝1.4倍の1番人気に推された。唯一の不安があるとすれば2歳以来の1000メートル。この距離なら、と逆転を狙うスピード自慢が戦いを挑み11頭立てとなった。
2番人気は3歳馬スペシャルエックス。北海道スプリントカップJpnIIIでは果敢に先行しスピードを見せた。続いてスマートダンディー、ベストマジックと田中淳司厩舎の3頭が2~4番人気だった。
レースはそろったスタートから、先行態勢のスティールペガサスとミホスローロリスの外からすぐにスペシャルエックスが先手を奪う。ベストマジックも上がっていき、スティールペガサスは3番手に控える展開。逃げ残りを図るスペシャルエックスの後ろで、スティールペガサスは4コーナー手前で外に持ち出し、じわじわと上がっていく。
直線では、内で粘るスペシャルエックス、外から差を詰めるスティールペガサス。届くか、粘るか?という息をのむゴール前、スペシャルエックスがアタマ差しのいだ。勝ちタイムは1分0秒3。さらに外から追い込んだスマートダンディーが3着、10歳馬のフジノパンサーが4着で、まだまだ若手に負けないスピードを見せた。
スペシャルエックスの岩橋勇二騎手はレース後首をかしげながら戻ってきた。「検量室に戻る時に着順が出ていて、勝ったとわかりました」。横からレースを見ていても前に詰め寄るスティールペガサスに迫力を感じたから騎手にとってはなおさらだろう。
スペシャルエックスは2歳時のイノセントカップに続く重賞2勝目。父母ともに短距離で活躍した血統で、生産した日高町・増尾牧場の増尾秀樹さんによると「小柄だが見栄えがする馬だった」そう。母ファーマクリームの最後の仔だという。
騎手や調教師も、息を入れられる1200~1400メートルが適距離と話す。次走は岩手のハヤテスプリントの予定で「最終目標は園田の楠賞」と田中淳司調教師。岩橋騎手も「いろいろなところで頑張っていける馬」といい、北海道の新たなスプリント・チャンピオンが各地の短距離路線に殴り込みをかけるのが楽しみだ。
取材・文小久保友香
写真浅野一行(いちかんぽ)
Comment

田中淳司調教師
相手が強い馬なので、しのげるか最後の最後まで不安でした。1000メートルは忙しいかなと思っていたので、結果を出せて偉い馬だと思います。北海道スプリントカップのきつい競馬は馬にとっていい勉強になりました。






岩橋勇二騎手
桑村騎手の馬に勢いがあったので、勝ったとわかりませんでした。ゴール前は迫ってくるのがわかり、ドキドキしました。1000メートルは短いかなと思いましたが、よく頑張ってくれた。3歳で負担重量も軽いですが、それでも勝ちきったのはすごい馬だと思います。