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第27回スパーキングレディーカップJpnIII

一騎打ちムードを破り重賞初制覇
  スピーディキックは上り最速も2着

人気を分け合った2頭で決着するレースというのは、思った以上に少ないもの。浦和のスピーディキックとJRAのグランブリッジの一騎打ちと目された今回も、そう簡単には決着しなかった。

単勝2.0倍の1番人気に推されたのはスピーディキック。重賞8勝、牡馬相手のフェブラリーステークスGIとかしわ記念JpnIで6着と力を示してきた。別定55キロで出走できるのは好材料で、エーデルワイス賞JpnIII以来のダートグレード制覇に期待が高まった。

一方、グランブリッジは2.4倍。休み明けで別定58キロ、マイルへの距離短縮など不安要素が多かったが、JBCレディスクラシックJpnIでの2着など、ダート牝馬路線での力上位は明らか。ここも大崩れはないと見られた。

しかし、凱歌をあげたのは単勝8.9倍の4番人気レディバグ(JRA)。8度目の重賞挑戦で、念願の初タイトルを手にした。

転入初戦のノーブルシルエット(大井)が先手を奪い、レディバグが2番手。グランブリッジはダッシュが今ひとつで、スピーディキックも無理に先行せず、ともに後方で機をうかがった。前半の3ハロンは37秒6。時計がかかる今の馬場を考慮してもスローな流れで、勝負どころでは先行集団が密集する形。早めに動いたスピーディキックの御神本訓史騎手は内を選択したが、さばくのに手間取り、遅れてエンジンがかかったグランブリッジは集団の外を回らされた。

その間にレディバグは先頭に並びかけ、懸命に脚を伸ばす。残り100メートル付近でノーブルシルエットを交わすと、スピーディキックの追撃をアタマ差だけ振り切ってゴールを駆け抜けた。

レディバグは昨年のこのレースや、今年のマリーンカップJpnIIIで2着と力を示してきたが、ここでようやく初タイトル。2番手から終始ロスなく運んだ酒井学騎手は「スムーズに追走することができて、久々に前々の競馬ができました」と、デビュー戦から手綱をとってきたパートナーをねぎらった。

管理する北出成人調教師も「ジョッキーにはスタートから出していってほしいと伝えていました。勲章を獲らせてあげたかったから、本当にうれしいですね」と感慨深いといった表情。「夏場に調子を上げてくる馬なので、次走は佐賀のサマーチャンピオンを目指すことになると思います」と話した。

スピーディキックはゴール前で鋭く脚を伸ばしたものの2着まで。御神本騎手は「ここ2戦に比べれば競馬ができています。でも、反応の鈍いところがある馬ですし、あの手応えでは外に出せないですから」と悔しさをにじませた。ただ、後半3ハロンはメンバー最速で、実力は示した形。ペースや展開が少しでも違っていれば、結果は変わっていたはずだ。改めて期待したい。

グランブリッジは直線の外めを伸びたものの4着まで。川田将雅騎手は「斤量が響きました」と別定58キロを敗因に挙げたが、距離短縮や久々もありながら0秒4差に迫る好内容だった。今後も牝馬路線の中心的存在として、各地を沸かせてくれることだろう。

取材・文大貫師男

写真宮原政典(いちかんぽ)

Comment

酒井学騎手

最近は追走が厳しくなることが多かったのですが、今回は好発を決めて、その後もスムーズに2番手で追走してくれました。馬自身も調子が良かったんだと思います。ゴールしたときには勝ったか分からなかったですが、関係者のみなさんが1着のところに立っていたので、うれしかったですね。

北出成人調教師

夏場に調子を上げてくるので、いい状態で出走させられたと思います。前走のようなしんがりからの競馬では、小回りでは間に合わないと思ったので、ある程度出していくようにと話していました。次走は佐賀に向かう予定ですが、少しズブさも出てきたので、秋はJBCも視野に入れたいと考えています。