第22回ノースクイーンカップ

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第22回ノースクイーンカップ

末脚勝負で直線振り切る
  転入3戦目で重賞初制覇

2014年にブリーダーズゴールドカップJpnIIIが牝馬限定戦に生まれ変わる。そして、門別競馬場に内回りコースが設けられた2015年、内回りマイル戦の牝馬重賞としてヒダカソウカップを春に創設。ヒダカソウカップ→ノースクイーンカップ→ブリーダーズゴールドカップJpnIIIと、3歳以上の牝馬重賞が体系化された。馬産地に立脚したホッカイドウ競馬は、牝馬の入厩率が半数以上を占める。繁殖牝馬として牧場に戻る馬たちに、タイトル獲得のチャンスが広がることは、馬産地競馬の役割でもある。全日本的なダート競走の体系整備に伴い、ブリーダーズゴールドカップJpnIIIは、2024年から9月上旬に移る。

ノースクイーンカップは、かつて、シバフイルドーが6連覇という偉業を成し得た前身のクイーンカップを含めれば、ホッカイドウ競馬の3歳以上で争われる牝馬重賞でもっとも長い半世紀近い歴史を持つ。グランダム・ジャパンが創設された2010年から古馬シーズンの1つに組み込まれ、他地区から有力馬も参戦する。このことでも、ノースクイーンカップが全国で意識されていることを感じる。今年も大井、船橋、佐賀から参戦し、混戦模様に拍車を掛けた。

苦手の内回りコースを克服し、ヒダカソウカップを制したネーロルチェンテが、連覇を期待されて1番人気に支持された。JRAから移籍後、2戦目で勝利を飾ったレスペディーザ、ホッカイドウ競馬出身でスピーディキックと接戦を演じた実績のある船橋のレディオスターと人気は続く。

展開の鍵を握ると思われたクーファアチャラが出走取消となり、「中距離なら行き切るスピードがあり、できるなら行き切って欲しい」と、真島元徳調教師が服部茂史騎手に指示した通り、佐賀のスーパースナッズが主導権を握った。前半3ハロンは38秒9、5ハロン通過は64秒7のスローペース。しらさぎ賞を逃げ切ったスティールルージュは、距離延長を意識したのか、2番手で折り合いをつけるレースを試みたが、3コーナーで失速。その直後にいたウワサノシブコとレスペディーザが勝負所から動いていく。スーパースナッズは後続を引き離しにかかり、3コーナーのラップは12秒9と加速したが、道中は3番手で並んでいたウワサノシブコとレスペディーザが前との差を詰めていく。「手応えのある形で直線に向くことができたので、末脚勝負なら……」と、レスペディーザの小野楓馬騎手が追い出すと、内で渋太く抵抗するウワサノシブコを振り切ってのゴール。ネーロルチェンテは1、2着馬の直後で運び、勝負所もロスのない立ち回りをしたが、3着に追い込むのが精一杯だった。

レスペディーザは、JRA1勝クラスで3着の実績はあったが、新天地で花開き、転入3戦目で重賞ウィナーに輝いた。JRAでの勝利は札幌で、2着2回も札幌と函館という点から、北の地での相性が良い。今後目標とするビューチフルドリーマーカップの水沢遠征で結果を出せば、さらに高いステージが見えてくるだろう。

取材・文古谷剛彦

写真浅野一行(いちかんぽ)

Comment

小野楓馬騎手

使う毎に良くなって、返し馬でやる気を見せていました。ペースが割と落ち着き、スムーズに好位を取れて折り合いもついていました。内のウワサノシブコを交わし、他馬の影が見えなくなった時に勝利を確信しました。鞍上の指示に対して素直で、最後まで一生懸命走ってくれる点がストロングポイントです。

田中淳司調教師

移籍後は調教をつけながら馬体重が増えているように、調子を上げていました。好位に取りつき理想のプランで運んでくれたので、安心して観ることができました。他地区でも中距離なら通用する力は持っていると思いますので、ビューチフルドリーマーカップを目標に、地元を叩くかどうかになると思います。