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ミックファイア


高橋華代子

2023.07.20 (木)

「無敗の南関東三冠馬ミックファイア」

提供 東京シティ競馬

7月12日に大井競馬場で行われたジャパンダートダービー(JpnI)は、御神本訓史騎手が騎乗した1番人気ミックファイア(大井・渡邉和雄厩舎)が勝利を飾りました。デビューから無傷の6連勝で、南関東三冠を達成。

ミックファイアはこれまで逃げか、3~4コーナーで先頭に立つスタイルでしたが、このジャパンダートダービーは経験したことがない外の5番手付近を追走しました。ハナを切ったJRAのミトノオーが勝負どころからさらに後続を引き離しにかかりましたが、最後の直線に入ると一完歩ずつ詰めより、残り100m過ぎから一気にかわし、2馬身半差V。

「これまでと道中のペースが違ったり、内と外からのプレッシャーもすごくて、思いのほか後ろになりましたが、気持ちを切らさずにあきらめないで走ってくれました。直線残り200mを切ったところで前にいる馬の脚が止まったのはわかったので、これはかわるなと。あとは後ろから何か来なければいいなと、必死に追いました。馬の気持ちと能力がまさったんでしょうね。羽田盃と東京ダービーの時より落ち着いたとは言っても、まだ返し馬が終わってからテンションが上がっていました。入れ込んでもレースではあれだけ走れるので、心肺機能も高いと思います」(御神本騎手)。

御神本騎手は東京ダービーの時はこれまで味わったこともないような緊張感で、ミックファイアに土をつけないようにと、昼食に出たあさりの味噌汁はあえて飲まないようにするなど(時折砂が入っているため)、かなりピリピリしていたそうです。しかし、今回全く緊張感はなかったそう。

「ダービーは苦い経験をたくさんしてきたので特別な思いもありましたが、ジャパンダートダービーは騎乗経験も多くはなかったので、別物のレースの感覚でした。でも、勝った瞬間はうれしすぎて言葉にならなかったですし、興奮していたのか、夜は眠れませんでした。三冠達成はなかなかできることではないですし、意図があって生まれたドラマでもあると思っています。歴史的な出来事は絶対に意味があると思うので、これから騎手をやっていく上でも、この三冠を達成したことの意味が何なのかを考えていきたいです」。

今後、ミックファイアは夏休みに入り、秋はJBCクラシック(大井)からチャンピオンズカップや東京大賞典と、古馬に挑戦していく予定とのこと。渡邉調教師は「順調ならそういうローテーションでも恥ずかしくない馬かなと。まだ体も緩いし、筋肉がさらにつけばもっといい馬になると思っています。すごい馬になる可能性があります」と話していました。

すでに『大井の怪物』や『令和の怪物』などとも呼ばれているミックファイア。これからさらにどんな強さを見せてくれるのでしょうか。どんな未来が待っているのでしょうか。可能性は無限大です。

高橋華代子(たかはしかよこ)

元NHK山形放送局キャスター。現在は南関東競馬を中心に取材活動中。
<掲載媒体>
・南関魂
・TCKホームページ
・楽天競馬
・WEBハロン
・馬事通信
・netkeiba.com
・ターファイトクラブ会報誌
・SPAT4ザ・ウィナーズ など