web furlong ウエブハロン

地方競馬のオンライン情報誌ウェブハロンPresented by National Association of Racing

Copyright(C) 1998-NAR.All Rights Reserved.

ヤングジョッキーズシリーズTR 川崎

木間塚騎手が接戦を制す
  地元の野畑騎手も好騎乗

ヤングジョッキーズシリーズのトライアルラウンド川崎は、昨年も一昨年も10月に行われ、第1戦が17時45分に発走。しかし今年は7月末に日程が変わり、発走時刻も第1戦が16時25分と前倒しされた。

猛暑が続いているなかで川崎競馬場に集まった騎手は、地方所属が11名で、JRA所属が6名(大塚海渡騎手は永野猛蔵騎手に変更)。発表されている今年のトライアルラウンドの騎乗予定表によると、17名の騎手が揃うのは今回が最多となっている。その姿を見ようと第2レースの終了後に行われた騎手紹介式には多くのファンが集まり、そして写真を撮っていた。その後はファンの求めに応じて即席のサイン会。最後まで声を掛けられていたのは地元川崎の神尾香澄騎手とJRAの小林美駒騎手だった。

その両騎手も騎乗する第1戦は1500メートルが舞台。C3クラス選定馬による争いは、予想する側にとって難解な条件だ。パドックで騎乗合図がかかったところでは、所蛍騎手(船橋)の騎乗馬以外はすべて単勝オッズが40倍未満。最終的には14頭のうち12頭が30倍未満という分布になった。

そのなかで1番人気に推されたのは、最近2戦で連続2着という成績のタカラチーター。鞍上の佐藤翔馬騎手はJRAでは未勝利だが、地方では4勝を挙げている。父が川崎の佐藤博紀調教師という縁で、この日は父の厩舎以外で合計7鞍に騎乗。デビュー初勝利を挙げた川崎競馬場での勝利に期待が高まった。

ゲートが開くと、前走で逃げていた2頭が好スタートから先手を主張。まず後藤蒼二朗騎手(大井)が先頭に立ち、野畑凌騎手(川崎)が2番手につけた。そこに加わってきたのが大外枠からスタートした佐藤騎手。その3名が後続を少し離す形でレースを進めた。隊列の長さは向正面に入ったところで50メートルはあろうかという縦長で、肉眼での見た目でもハイペース。さらに3コーナーあたりで先頭の後藤騎手が加速して、最後の直線に入ったところでは2番手の馬に3馬身ほどの差をつけた。

しかしその勢いと粘りは残り100メートルあたりまで。代わって木間塚龍馬騎手(船橋)が勢いよく伸びてきて先頭に立った。しかしその後ろから猛追してきたのが七夕裕次郎騎手(浦和)。残り200メートルあたりでは馬群の後ろにいたが、そこから大外に進路を変えて一気の伸び脚を披露してゴール地点ではその2頭が横並び。勢いとしては七夕騎手だったが、ゴールの瞬間にハナ差先着していたのは木間塚騎手だった。

その結果に七夕騎手は「向正面で展開的に向くかなと思いました。でも、ゴールの瞬間は負けたかなと思いました」と苦笑い。それでも獲得した20ポイントについては喜びの表情で「一昨年は繰り上げでファイナルに出させてもらったので、今度は自力で行きたいです」と意気込みを話した。対して、ギリギリで勝利を飾った木間塚騎手はホッとした表情。2名ともこの日の騎乗はこれだけで、レース後は関係者と談笑していた。

続く3着には勝負どころでインコースを通った西塚洸二騎手(JRA)が浮上。新原周馬騎手(川崎)は4着だったが、向正面から追い続けて馬を動かす好騎乗を見せた。

ひとつレースをはさんでの第2戦は1600メートル。このレースも単勝10倍以下が6頭、14頭のうち10頭が20倍以下と人気が分散してレースを迎えた。こちらは前走で逃げた馬が1頭だけ。逆にそれが各騎手の頭にあったのか、ゲートが開くと気合をつける騎手が多く、先行争いが激しくなった。

その争いを制して先手を取ったのは大木天翔騎手(大井)。単騎逃げに持ち込んだところで手綱を引いてペースを落としにかかったが、直後を室陽一朗騎手(浦和)にマークされたことで厳しい展開になってしまった。

3コーナーで大木騎手は失速し、室騎手が早めに先頭に立たされる形。そこに3番手にいた野畑騎手が進出してきたことで、室騎手は逆に追われる立場になってしまった。それでも室騎手はゴール手前まで粘りを見せて2馬身差で2着を確保。しかしそれ以上に好位差しでの完勝に導いた野畑騎手の巧さが光った。

3着には中団から差を詰めてきた新原騎手が入り、4着は好位で粘った土田真翔騎手(JRA)。この2名は2戦とも5着以内で、それぞれの地区で3位につけた。ただ、新原騎手は今回の2戦の結果には不満がある様子。

逆に土田騎手は2戦とも9番人気馬でのものだから価値がある。「第1戦はハイペースについていかず、馬の力を引き出せたと思います。第2戦もいい位置を取って様子を見ながら進めて、掲示板を確保できたのでよかったです」と、明るい表情で荷物をまとめていた。

逆に2着に入った室騎手は「2着でも惜しくないですよ……。ペースが速くなるかなと思って乗ったんですが」と意気消沈。それでも室騎手は中4日で盛岡競馬場のトライアルラウンドが控えている。この日は12着と6着だった小林美駒騎手も「すぐ盛岡があるので、次は頑張ります」と明るい声で話していた。


取材・文浅野靖典

写真築田純(いちかんぽ)

Comment

第1戦1着 木間塚龍馬騎手(船橋)

ハミ受けが難しいと聞いていましたが手ごたえは最初から最後までとてもよくて、勝負所まではなるべくインコースを狙って、3コーナーからは下がってくる馬がいそうだったので外に切り替えました。レースの流れも合いましたね。この調子で3回目のファイナルラウンドを目指します。

第2戦1着 野畑凌騎手(川崎)

実力がある馬に乗ることができたので、その持ち味を出せるように積極的に出していって3番手を確保できました。3コーナーのところでは、相手は(室)陽一朗だけだなと思ったので、そこを目標にして追いました。ヤングジョッキーズシリーズは今年が最後。地元で勝つことができてよかったです。