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第35回ブリーダーズゴールドカップJpnIII

早め先頭から後続を寄せ付けず
  タフな馬場を味方に4馬身差圧勝

紀伊半島から兵庫県を縦断した台風17号は、その後日本海に抜け、ちょうど17日ごろ北海道の西側に接近するという進路予想で、門別競馬場の開催がどうかと思われた。しかし実際にはかなり西側にずれて温帯低気圧に変わったことで北海道地方にはほとんど影響がなく、晴・稍重という発表でこの日の開催が行われた。

中央5頭に対して、地方馬は地元のみ3頭の8頭立て。少頭数の争いで“台風の目”となったのは、昨年7月から地方のダートグレードを中心に使われているテリオスベルだった。

かねてから「スタートが速くはない逃げ馬」(田島俊明調教師)というテリオスベルだが、今回はそれほど出遅れることもなく、江田照男騎手が気合を入れてハナを主張。好スタート切った内枠のパライバトルマリンの戸崎圭太騎手がそれを見て控えたことで、テリオスベルは1コーナーに入る前に単独先頭を取り切った。

向正面に入ると隊列はやはり縦長に。テリオスベルがマイペースの逃げに持ち込み、3馬身ほど離れてパライバトルマリン、グランスラムアスク、プリティーチャンスらが続いた。

初ダートだったグランスラムアスクは3コーナー手前で徐々に後退。後続との差を広げにかかったテリオスベルに対して、3~4コーナーではパライバトルマリン、プリティーチャンスらの鞍上が懸命に手を動かしてもその差はまったく詰まらず。直線に入って気合をつけられたテリオスベルがセーフティリードを保ったままゴール。

ここまでキャリア4戦、関東オークスJpnIIを制し単勝1番人気に支持されていた3歳馬パライバトルマリンは4馬身差で2着。「いい雰囲気で走っていましたが、力のいる馬場が相手(テリオスベル)に有利になったかなと思います」と戸崎圭太騎手。

向正面では先頭から10馬身ほども離れた位置を追走していたカラフルキューブが位置取りを上げてきて、2着馬から2馬身半差で3着。「前半はレースに参加せず、馬のリズムを大事にしてイメージ通りに乗れたと思います」と鮫島克駿騎手。高野友和調教師は「敗因があるとすれば距離」とのことで、上位勢はそれぞれが能力を出し切っての結果。昨年は直線末脚を伸ばして2着だったプリティーチャンスだが、今回は直線一杯になって4着。地元最先着はウワサノシブコが5着だった。

昨年は雨で水の浮く不良馬場だったのが、今年は馬場状態の発表こそ稍重だが表面は乾いた状態。それ以上に昨年と異なるのは、門別のダートが白い砂になってパワーを必要とするタフな馬場になったこと。加えて少頭数の外枠という、昨年とは一転してさまざまにテリオスベルに向いた条件となった。思えば、これまで唯一の重賞タイトルだった昨年11月のクイーン賞JpnIIIも、同じオーストラリア産の白い砂に変わった船橋コースだった。

テリオスベルにとっては、今回の門別2000メートルのように、スタートしてから最初のコーナーまで十分に距離があり、早めに自分の形に持ち込めるかどうかも勝利の条件。今後もダート牝馬路線で、JBCレディスクラシックJpnI(大井)が目標となる。

取材・文斎藤修

写真浅野一行(いちかんぽ)

Comment

江田照男騎手

去年と違っていい感じのダートで、タフな馬なのでこういうダートは合っているという印象でした。1コーナーに入る前に先手を取れて、そこから自分の形に持ち込めたのでよかったです。オーナーがずっと自分を乗せてくれて、厩舎の人たちが状態よく競馬場に馬をつれてきてくれるので感謝です。

田島俊明調教師

去年は負けてしまいましたけど、今年は頭数、枠順、馬場状態と、いい条件が揃って出走できたと思います。スタートは速くないのですが、自分の形ができてきたので、(今回の勝利は)それに尽きると思います。(近走の安定した成績は)馬の気持ちがまず強いのと、心肺機能はかなり優れていると思います。