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ヤングジョッキーズシリーズTR 浦和

地元の中島騎手が存在感
  秋山騎手は2戦とも連対

浦和競馬場でのヤングジョッキーズシリーズ・トライアルラウンドは、残暑が厳しいなかでの開催。最高気温が36度というコンディションは、北海道から来た若杉朝飛騎手と阿岸潤一朗騎手にはとりわけ厳しかったようで、「本当にキツイです」と声をそろえた。

第4レースの後に行われた騎手紹介式では室陽一朗騎手(浦和)と佐々木大輔騎手(JRA)がファンにあいさつ。そして各騎手は第7レースの第1戦、第9レースの第2戦に向けて準備を進めた。

その様子を見ていたのが私服姿の木間塚龍馬騎手(船橋)。浦和での2戦には参加しないが、川崎で勝利したことで地方の東日本地区では1位に立っている。「みんなには頑張ってほしいと思いますが、今日はJRAの騎手を応援しようかな」と言って笑った。

その第1戦で、僅差の2番人気に推されたのが、川崎で木間塚騎手にハナ差で2着に敗れていた七夕裕次郎騎手(浦和)。ここで勝つことができればファイナルへの道が大きく広がる。しかし七夕騎手の騎乗馬はスタートに難があるタイプで最内枠。ゲートが開くと少しつまずくような形になってしまった。

さらに地元浦和の所属騎手が4名いるとはいえ、不慣れな騎手のほうが多い一戦。1コーナーまでの先行争いは激しく、なかでも外枠の騎手がいい位置を取りに動いた。先手を取ったのは中島良美騎手(浦和)のエスポワールフレア。4戦連続で900メートル以下に出走していた経験と、この日はチークピーシズを装着したことで行き脚がついたようだ。

しかし先手を取るということは、同時に後続の目標にもなる。それでも中島騎手は自分のペースを守り、最後までコースロスなく走らせて4着に粘り込んだ。

第1戦を制したのは早めに好位につけた秋山稔樹騎手(JRA)。3馬身差の2着にはスタートから中島騎手の後ろを追走していた仲原大生騎手(大井)が入り、3着は勝負どころからインコースを回った横山琉人騎手(JRA)。

秋山騎手は「調教師さんから気持ちにムラがあるタイプだと聞いていましたが、最後まで集中して走ってくれました」と会心の騎乗ができた様子。仲原騎手は「4コーナーまで余力を残すことを考えていましたが、もう少しでしたね。次は船橋で頑張ります」と話し、横山騎手は「3コーナーで前がパカッと空いたので、そこを通りました。ラッキーでしたね」と振り返った。

七夕騎手は後方のまま9着。「もまれる形は避けたかったんですが……」と、馬場の方角を見て、やりきれないという表情。最下位だった阿岸騎手は「門別とは砂が違いますしカーブもきついですし、馬と馬との間隔もあまりなくて、まったく流れに乗れなかったです」と、苦笑いするしかないという様子だった。

続く第2戦も1400メートルが舞台。近走で逃げ先行策を取ったことがある6頭が勢いよく飛び出して、向正面では先行集団の後ろに5馬身ほどの空間ができた。

そのなかで先手を取ったのは再び中島騎手。このレースでもマイペースで逃げると、3コーナーあたりから後続を引き離して押し切った。3/4馬身差2着には馬群の外から追い上げた秋山騎手が入り、中団から一気に伸びてきた横山騎手が2戦連続での3着となった。

今年のトライアルラウンドでは連勝する騎手が目立つが、この浦和では中島騎手、秋山騎手、横山騎手が2戦とも上位に入った。管理馬が2戦とも秋山騎手とのコンビになった平山真希調教師は「しっかりと研究してくれていたみたいで、とても上手に乗ってくれました」と笑顔を見せた。

横山騎手は30ポイントを獲得してJRAの東日本で4位に上がり、50ポイントを獲得し3位の秋山騎手とは1ポイント差。両騎手は船橋でも騎乗予定があることから、ファイナルラウンドに向けて大きく前進したと言っていいだろう。その様子を検量室から眺めていたのが、盛岡で連勝した永野猛蔵騎手(JRA)。上機嫌で近づいてきた秋山騎手に対して「僕は大井で頑張りますよ」と、ニヤリと笑って視線を向けた。

浦和での2戦が終了して、東日本でのトライアルラウンドは大井と船橋を残すのみ。今後のポイント争いはさらに熾烈になることだろう。

一方、地方の東日本では、浦和で4着と1着の成績を残した中島騎手が42ポイントで、37ポイントの木間塚騎手を抜いて1位に浮上。その情報を聞くと「中央で乗ってみたいですね」と目を輝かせた。しかし中島騎手はケガで休養していた影響で、トライアルラウンドの騎乗予定は現在のところ浦和での2戦だけ。そうなると中島騎手も船橋と大井の結果が気がかりになる。そして「何番目まで行けるんですか」と報道陣に質問。4位までという答えを聞いて「あとはJRAの騎手を応援すればいいのでは」の声が返ってきたところで「そうですね」と笑った。


取材・文浅野靖典

写真宮原政典(いちかんぽ)

Comment

第1戦1着 秋山稔樹騎手(JRA)

浦和での成績があまりよくない馬でしたが積極的に進めて、4コーナーのところで「この馬の力を出し切らせることができたな」と思える競馬ができました。今回は2頭とも勝つチャンスがある馬と感じていましたが、いい仕事ができて、結果的に多くのポイントが獲れたことをうれしく思います。

第2戦1着 中島良美騎手(浦和)

もともと逃げるつもりで、スタートが決まったのでそのまま行きました。レース中は息を入れることもできましたが、ちょっと強引に行った感じもあったので心配しましたが、最後まで馬が頑張ってくれました。復帰後はうまくいかないことが多かったですが、ここで勝つことができてよかったです。