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第47回岐阜金賞

流れに乗って一騎打ちを制す
  春から急上昇で重賞2勝目

昨年はタニノタビトが勝利を挙げて、東海地区の3歳三冠を達成したが、今年は東海ダービーの上位2頭が不在。1着のセブンカラーズは脚部不安のため放牧中で、2着のツミキヒトツは9月10日に佐賀競馬場で行われる西日本ダービーに矛先を向けた。

そうなると駿蹄賞を勝ち、東海ダービーで3着に入ったリストンに注目が集まるのは自然な形。前走は笠松の3歳オープン・ブルームカップで2着だったが、それでも単勝2.4倍の1番人気に支持された。

そのブルームカップを制したのはペップセ。東海ダービーは6着に敗れたが、続く笠松のクイーンカップを逃げ切ると、前走は差して連勝を飾った。ここでは2番人気ながら単勝4.0倍。3番人気は前走で名古屋の3歳オープンを勝ったクフィールで4.5倍、そのレースでクビ差2着だったマロンアイスが5.9倍で続いた。

岐阜金賞のひとつ前の第10レースが終わった直後、笠松競馬場は大粒の雨と強風、雷鳴に襲われた。その勢いは強烈で、1分もしないうちに表彰台の前には大きな水たまりが発生。良だった馬場状態は、稍重を飛び越えて重に変更された。

それでも暴風雨が15分ほどでおさまったのはなにより。しかしその影響で出走各馬がパドックに入る時刻が遅れたため、12番のペップセが本馬場に移動した直後、場内のスピーカーから締め切り3分前の放送が聞こえてきた。

この開催の笠松の馬場は、場立ち予想の一岡浩司さんによると「逃げた馬が残りにくい」コンディション。それが各騎手の頭に入っていたとしても、ゲリラ豪雨で重馬場になったなら話は別というところだろう。

ゲートが開くとクフィールがハナをとり、8枠のワールドミッションとペップセが追走。イーヴンキール、エンジョイリッキーは控え、最内枠のリストンは鞍上の丸野勝虎騎手が手綱を絞って外枠の馬を先に行かせ、1周目の3コーナーで先行各馬の外につけた。

最初のスタンド前で8枠の2頭は逃げるクフィールの直後でうまく流れに乗り、その1馬身ほど後ろでエンジョイリッキーとリストンが並ぶ形になった。

その位置取りはしばらく続いたが、向正面の中間あたりでクフィールと加藤聡一騎手がペースアップ。そこに並んでいったのはペップセで、2周目の3コーナーから一騎打ち。最後の直線でも攻防は続いたが、ペップセが残り100メートルあたりで先頭に立って、クフィールを半馬身差で退けた。

2着から3馬身差の3着にはコースロスなく走ったエンジョイリッキーが入り、さらに3馬身差でマロンアイスが4着。1番人気のリストンは2周目の4コーナーで失速して8着だった。

勝ったペップセはJRAで3戦とも大敗し、金沢に移って初勝利。年明けからは愛知所属となったが、なかなか勝ち星が挙げられないでいた。それが4月以降、これで6戦5勝と一気に力をつけた。デビュー5年目の浅野皓大騎手は「僕がめったに出会えないクラス」という馬とのコンビで重賞2勝目。4着に終わった最終レース後も笑顔を止められないといった様子だった。

取材・文浅野靖典

写真岡田友貴(いちかんぽ)

Comment

浅野晧大騎手

大外枠になったので、それをいかしてもまれない形で追走しようと考えていて、勝負どころで後ろから馬が来たときもハミを取ってくれました。最後に競り合ったのは自分の所属厩舎の馬でしたが、そこは勝負ですからキッチリと(笑)。今後は全国交流のレースに挑むことができればと思います。

今津勝之調教師

ここにきて競馬がうまくなりましたし、レースの幅も広がりましたね。距離延長は心配していませんでしたが、中間に少し歩様が悪くなって馬場入りを休んだ点は気になっていました。それでもうまく持ち直してくれましたね。厩舎に帰って様子を見て、順調なら次は(9月22日の)秋の鞍になると思います。