大外から逃げ切り重賞初制覇
来年の佐賀JBCへ夢広がる
佐賀競馬のJRA交流重賞(ダートグレード、九州産)は、薄暮・ナイター開催導入後も従来どおりの17時前後を発走時刻としているが、昨年のサマーチャンピオンJpnIIIは土日開催時の重賞と同じ18時台に行われた。今年はさらに発走時刻を繰り下げ、佐賀の重賞としては初めて20時00分のナイター発走に設定。当日は第5レースごろに激しい雨が降ったものの、その後天候は回復。日没後は気温も下がり過ごしやすくなり、場内は大勢のお客様で賑わいを見せて、ナイター実施は大成功を収めた。
重賞未勝利ながらJpnIで2、3着の実績があるヘリオスが1.9倍の単勝1番人気。オマツリオトコ(3.7倍)、レディバグ(4.0倍)のダートグレード勝ち馬2頭が続き、サンライズホーク(9.1倍)、デンコウリジエール(13.9倍)と、上位はJRAが占めることとなった。
大外から一気にサンライズホークがハナを奪い、ヘリオスは2番手。マテラユウキ(佐賀)、デンコウリジエール、レディバグ、オマツリオトコらが追走し、ハナブサ(兵庫)、エスケイファースト(佐賀)までが先行馬群を形成。向正面でも前の隊列に大きな変化はなく、4コーナーではJRA5頭とハナブサが後続を引き離す展開となった。
サンライズホークの逃げは直線に入っても軽快で、そのまま突き抜けての勝利。2馬身半差がついて他4頭のJRA馬による2着争いは、外から3頭を交わしたオマツリオトコが制し、以下レディバグ、デンコウリジエール、ヘリオス。2着から5着までコンマ2秒差の接戦だったが、この4頭はハンデが軽い順(54~58.5キロ)の入線となっており、絶妙のハンデ設定が好レースを演出した形となった。
JRA勢5頭が掲示板を独占し、地方最先着は5着馬から4馬身離されたハナブサの6着。佐賀最先着はさらに5馬身差でエスケイファースト(吉野ヶ里記念2着)が7着だった。
サンライズホークは芝のデビュー戦で15着だったが、2戦目にダートに出走するとそこから4連勝でオープン入り。その後の3走は苦戦していたが、「馬の状態やレース内容がかみ合いませんでしたが、前走(クラスターカップJpnIII・9着)がよいステップとなり、一段上がった状態で臨むことができました」(牧浦充徳調教師)と立て直されての出走で、重賞挑戦2戦目での初タイトル獲得となった。
2024年のJBCスプリントJpnIは、今回と同じ佐賀1400メートルでの開催。牧浦調教師は「出るにはかなり賞金加算しないといけませんが、出れたら嬉しいですね」と語り、今後の大きな目標となったことだろう。来年の大舞台に大きく成長したサンライズホークが登場することを期待したいところだ。
取材・文上妻輝行
写真早川範雄(いちかんぽ)
Comment
牧浦充徳調教師
オープンに上がってからは自分のリズムで競馬させてもらえないところがありました。能力があるのは分かってましたが、精神的に弱いところがあるので初めてブリンカーを使ったことや、距離を伸ばしたのも、前で流れに乗れて自分のペースで走れたのが良かったと思います。
M.デムーロ騎手
盛岡と佐賀で間隔が空いてないのを心配してましたが、装鞍所で馬をみるとピカピカで、能力を出してくれたら楽しみだと思っていました。スピードはあるし、ブリンカーも効いていたので、できれば前に行きたかった。手応えはずっとよかったですね。佐賀でやっと勝てて嬉しいです。