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第58回サラブレッド大賞典

ライバルを競り落とし4馬身差完勝
  距離延長でステイゴールドの血が開花

金沢のこの世代では敵なしのショウガタップリが黒潮盃(大井)遠征で不在となって迎えた金沢の三冠目。中央未勝利から転入して連勝中という新興勢力もいるが、一冠目の北日本新聞杯を圧勝したノブノビスケッツ、二冠目の石川ダービーでショウガタップリの2着に入ったダイヤモンドラインの2頭に人気が集中。いわば、鬼の居ぬ間に三冠目を獲るのはどちらか、というのが興味の中心となった。

最終的に単勝では2.0倍と3.1倍でノブノビスケッツが1番人気となったが、連勝系では、券種によってどちらともつかないようなオッズで人気を分け合った。

そのとおり、レースでも3コーナー手前から2頭が馬体を併せて後続を離し、一騎打ちとなった。

ただ、展開的に優位に進めたのはダイヤモンドライン。スタート後は伏兵勢が前で競り合い、ペースが落ち着いた1周目のスタンド前で外目の4番手。一方、ノブノビスケッツは縦長の中団よりうしろから向正面でレースを動かした。ダイヤモンドラインの栗原大河騎手はこのタイミング待っていたようで、ノブノビスケッツを前には行かせず、たしかに一騎打ちとなったが、栗原騎手の手応えにはまだ余裕があった。4コーナーから追い出されると、あっという間にノブノビスケッツを置き去りにし、4馬身差をつけての完勝となった。

ノブノビスケッツの背後には、古馬格付けの条件戦で2連勝のボストンコモンが迫ったが、これを2馬身半差で振り切って2着は確保。青柳正義騎手は、「位置取り的にはよかったんですが、1コーナーで外からかぶらされそうになったので早めに出していったぶん、負けたかな」と敗因を分析。たしかに映像を見ると、外からボストンコモンにかぶされ馬体が接触するような場面があった。それでも、「ダイヤモンドラインも成長していますね」と、勝者を称えた。

勝ったダイヤモンドラインは、2歳9月の新馬戦で2着に2秒3の大差をつけて勝ったときから、いずれは重賞をと期待も高かったという。しかしショウガタップリやノブノビスケッツらにその機会を阻まれ、ここまで重賞では2着4回、3着1回。ついに念願の重賞初制覇となった。管理する佐藤茂調教師は、勝因のひとつに「父のレインボーラインは、ステイゴールドの血ですから、距離延長はいいのかなと思っていました」と血統面を挙げた。たしかに初めての2000メートル戦となった石川ダービーでは、ショウガタップリにはかなわなかったものの、5番人気という評価ながらノブノビスケッツ(3着)に2馬身半差をつけて先着していた。

今後について佐藤調教師は、「それほど食べるほうではないので(この日の馬体重は421キロ)遠征は来年かな」とのこと。金沢では古馬重賞となれば、2000メートルを超えるレースも充実しているだけに、古馬になっての期待はさらに大きいものとなりそうだ。

取材・文斎藤修

写真国分智(いちかんぽ)

Comment

栗原大河騎手

逃げ馬のうしろを取りたかったんですが、(4、5番手でも)自由に動ける位置だったのでよかったです。青柳さん(ノブノビスケッツ)が来るのは予想していたので、一緒に上がっていければという感じで、あとは相手がどれくらい伸びるかでしたが、4コーナーから離してこの馬の能力の高さを感じました。

佐藤茂調教師

位置取りは理想的なところにおさめてくれて、瞬発力はある馬なので、あの位置ならと思いました。2コーナーをまわって青柳君が来たので、あとはマッチレースになるかなと思って見ていました。若いころは気性が激しかったですが、無駄なイレ込みがなくなって、メンタル面が成長したと思います。