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ヤングジョッキーズシリーズTR 大井

小林美駒騎手が大井初騎乗で勝利
  第2戦は地元大井勢が上位独占

ヤングジョッキーズシリーズ・トライアルラウンド(TR)大井に地方9名、JRA6名(大塚海渡騎手は水沼元輝騎手に変更)が集結した。東日本は終盤の5戦目を迎え、TR最後の騎乗となる見込みが11名。ファイナルラウンドに向けて重要な戦いだ。

第5レース後に行われた騎手紹介式の時間帯はまだまだ真夏のような日差しが照り付けていた。そんな中、プレゼンターとして大井競馬のレジェンド的場文男騎手が元気に登場し、「俺もまだまだヤングだから」と言いながら若手騎手たちを激励していた。

大井のルーキー、木澤奨騎手は疾病のためTR盛岡に出場できなかったためシリーズ初参戦。前の週から北海道での期間限定騎乗が始まっており、この日は地元に帰ってきた。

「東京は暑いですね。盛岡は残念だったので、2連勝してファイナルに進みます!」と意気込みを見せた。

レース前には佐々木大輔騎手(JRA)が馬場を確認する姿が見られた。「大井競馬は初めてなのでどんな感じかなと思って。夏は函館・札幌だったので、久しぶりに広い競馬場で乗れるのが楽しみです」。JRA東日本の2位につけておりポイントを加算したいところだ。

第1戦は1200メートル。好スタートを切った谷内貫太騎手(大井)が先手を取ったが、大外枠から菅原涼太騎手(大井)が押して並びかけてハイペース。3番手に後藤蒼二朗騎手(大井)、4番手の内に小林美駒騎手(JRA)が追走し、3~4コーナーではこの4人と後続との差が広がった。直線に入ると菅原騎手が先頭に立ち、小林騎手が外から伸びて一騎打ち。残り100メートルあたりで小林騎手が交わし1馬身半差で勝利を手にした。2着の菅原騎手から5馬身差の3着に後藤騎手が入った。

小林騎手は大井初騎乗で勝利を飾り笑顔が弾けた。「小さい頃、同じ新潟出身の笹川翼騎手の応援で母と大井に来たことがあるんです。まさかその競馬場で勝てるなんて思っていなかったので、感謝の気持ちでいっぱいです。レースが終わったらすぐに翼騎手が来て、おめでとうと言ってくださってうれしかったです」と小林騎手。笹川騎手とは新潟の乗馬クラブが一緒だったとのことで、そこには永野猛蔵騎手(JRA)も通っていたそうだ。笹川騎手に聞くと「二人ともJRAでも活躍していて素晴らしいと思うし、うらやましいくらいですね」とほほ笑んだ。

最後まで食い下がった2着の菅原騎手は「外枠だったので前に行くのに脚を使ってしまったんですが、とにかく馬が頑張ってくれました。でも勝ちたかったです」と振り返った。しかし、その悔しさをすぐに晴らすことになった。

1800メートルで行われた第2戦は宮内勇樹騎手(北海道)が先手を取り落ち着いたペースで進んだ。3~4コーナーでは宮内騎手と2番手を追走していた土田真翔騎手(JRA)が並走。粘りこみを図るように直線に入ったが、第1戦とは異なり今度は後続が殺到してきた。

道中、後方4頭目にいた菅原騎手が内の経済コースを進みながら直線で力強く伸び1着。後方2頭目を追走していた谷内騎手が外を回って鋭い末脚で追いこみ半馬身差の2着。さらに半馬身差の3着に好位でレースを進めた木澤騎手が入って、地元大井所属騎手が上位独占。4、14、7番人気での決着で3連単46万円を超える波乱となった。

大井競馬では“大井の太陽”という愛称で親しまれている菅原騎手。「直線は羽ばたきましたね(笑)」とキラキラの笑顔を見せた。「自分の武器はスタートで、それを極めたいと思いながら乗っています。今回も1200で前にもつけられたし、1800でも上手く脚を溜められたので自分の得意な部分を活かせたと思います。でも、道中の折り合いなど、まだまだ課題がたくさんあるので、もっと勉強して上手くなりたいです」。昨年のTRでは4位と同ポイントの5位でファイナルへ進めず悔しい思いをした菅原騎手。地元で獲得した計50ポイントでファイナルに大きく近づいた。

レースが終わると、報道陣のもとへやってきてポイントの確認をする騎手たち。第2戦で最低人気馬を2着に導いた谷内騎手はまだ最終戦の騎乗が残っているだけに「船橋しだいですよね、がんばります!」と意気込んだ。すると、他のレースに騎乗していた木間塚龍馬騎手(船橋)がやってきて順位を確認し「余裕ですよ、だって次は地元ですから」とニヤリとして去っていった。

地方東日本は菅原騎手が66ポイントで1位と抜けたが、2位の野畑凌騎手(川崎)が49ポイント、3位の後藤騎手が43ポイントと続き、12位までが30ポイント以上という大接戦。JRA東日本は1位の佐々木騎手が64ポイント、2位の永野騎手が62ポイント、3位の小林美駒騎手が54ポイントと上位拮抗の状態。

ファイナルラウンドへの切符は誰が手にするのか、最終戦、TR船橋が終わるまで全く分からない。


取材・文秋田奈津子

写真早川範雄(いちかんぽ)、NAR

Comment

第1戦1着 小林美駒騎手(JRA)

前に行く馬が多かったのでその馬を目標にしながら経済コースを進みました。手ごたえも良かったし最後は馬の力を信じて直線出してあげればと考えていました。何回勝利しても、勝つということは嬉しいです。前の段階でもっとポイントが獲れるレースもありましたが、この後も諦めずにがんばります。

第2戦1着 菅原涼太騎手(大井)

前が詰まっていたのでじっとしていればチャンスはあるなと思って乗っていました。直線よく伸びてくれたし、ゴールした瞬間は本当に嬉しかったです。馬を信じてよかったです。このままファイナルに行きたいですね。もし行けたら期待に応えられるよう精いっぱい乗りますので見ていてください。