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第17回秋桜賞

直線一気に伸びて大差圧勝
  塚本騎手とともに重賞2勝目

名古屋競馬場のこの開催は、インコースの砂がそれほど深くない状況。秋桜賞のひとつ前のレースは単勝5番人気馬が2着に2秒0の大差をつけて逃げ切った。勝った浅野晧大騎手は「インコースが伸びますね。ただ、そのちょっと外側になると砂が重いです」と話していた。

今年の秋桜賞は昨年より距離が200メートル延長されて、3コーナーの奥から発走する1700メートルが舞台。この距離を理由に回避した陣営もあったそうで、大井のグランパラディーゾも関係者が「距離は微妙ですね」と心配していた。しかしグランダム・ジャパンのポイントを稼ぐためには、ここへの出走は必要なこと。読売レディス杯で2着から5着に入った4頭と、兵庫サマークイーン賞を制したハクサンアマゾネスは、それを考えて臨んできた。

そのなかで断然人気を集めたのは金沢のハクサンアマゾネス。その単勝オッズは長く続いた1.0倍を経て、最終的に1.5倍。2番人気は地元のブリーザフレスカで4.2倍。3番人気にはグランパラディーゾで6.7倍と続き、そのあと10倍台が3頭という分布になった。

暑さ対策のため、発走時刻の20分ほど前に出走各馬がパドック入り。すると、ハクサンアマゾネスが厩務員に引っ張られながら歩いていたのが気になった。対照的に兵庫のクリノメガミエースは2人曳きで元気な様子。大井のジュランビルも気合が入っているように映った。

ただ、レースは特殊といえる流れになった。

先手を取ったのは最内枠のウィップラッシュ。今年の日本海スプリントで逃げ争いをしたスピードを発揮して先手を取ると、その後ろを遠征馬5頭が追いかけ、最初のゴール地点では前6頭、後ろ4頭と、2つの馬群に分かれる形になった。

しかしウィップラッシュのスピードは徐々に落ちて、3コーナーあたりでは先頭から8頭が4馬身ほどに凝縮。それでもウィップラッシュは最後の直線入口まで粘ったのだから、追いかけた各馬も道中で脚を使ってしまったのだろう。

失速したグランパラディーゾ、ハクサンアマゾネスらに代わって上位に入ったのは、好位または後方から進めた馬たち。なかでもブリーザフレスカは道中8番手から追い上げて勢いよく突き抜け、2着に2秒1の大差をつけた。2着争いは4頭が横に広がり、インコースを立ち回った高知のアンティキティラが先着し、ジュランビルが流れ込んで3着。続いてネオアマゾネス、ベガスストリップと道中は後方にいた地元馬が入った。

一方、ハクサンアマゾネスは最下位。加藤和義調教師は「休み明けはいまひとつ。精神的にもろいところがある心配点が出た感じですね」と話し、吉原寛人騎手も「短いスパンで追い切りをこなして臨んだんですが」とコメントを残した。

2着に入ったアンティキティラは畑中信司騎手が「接戦になると頑張る面を見せてくれました」と笑顔。別府真司調教師は「大井(レディスプレリュード)に行きたいんですが、選んでくれるかな」と話した。

対して、勝ったブリーザフレスカが遠征する可能性は低そう。塚田隆男調教師は「次は私がまだ勝っていない東海菊花賞かな」と笑顔を見せた。

取材・文浅野靖典

写真岡田友貴(いちかんぽ)

Comment

塚本征吾騎手

相手は強いですが、自分の競馬をすればなんとかなると考えていました。ペースが速くなると予想していたので、インコースを通って、なるべくコースロスなく進めるつもりで乗りました。3コーナーまでに先団に取り付ければ大丈夫と考えていたらそのとおりになったので、その時点で勝てると思いました。

塚田隆男調教師

今の前残りが多い馬場への対応を心配していましたが、(2走前に勝ったトリトン争覇のように)内で包まれないようにするしかないと考えていました。名港盃のあとは笠松のくろゆり賞も考えたんですが、こちらにして正解でしたね。今後の予定はオーナーと相談しますが、地元戦になると思います。