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第60回東京記念

1番人気にこたえ差し切る
  得意の長距離で重賞3連勝

長距離の定量戦らしく、結果的には距離適性が高い実績馬による決着。しかし、ここへの参戦過程や展開、当日の馬場傾向も考慮すると、レース前は非常に難解な一戦と思われていた。

1番人気に推されたセイカメテオポリスは、春にオグリキャップ記念と大井記念を連勝。昨年の金盃と東京記念で2着の長距離適性も買われた。しかし、もともと暑さに強くなく、今年の猛暑を乗り切ることができたのかが鍵だった。休み明け初戦を快勝した2番人気のマンガンは、使った上積みが見込めるものの、先行有利の今開催の馬場がどうか。強敵がそろった転入初戦で完勝劇を演じたレッドソルダードにしても、前走が案外な結果。フレッチャビアンカとランリョウオーはともにこのレースを勝っているが、いい頃の勢いが感じられず、安定感も今ひとつ。この5頭が単勝10倍以下の支持を集めたが、どの馬も不安要素がチラつくなかでのゲートインだった。

しかし、結果は大井記念で南関東の頂点に立ったセイカメテオポリスが、得意の長距離で実力を誇示。前年の覇者ランリョウオーが適性と能力に加え、馬場傾向も味方につけて2着に逃げ粘った。

セイカメテオポリスは内枠を生かし、内ラチ沿いの4、5番手を追走。2周目の3コーナーでは前から下がってきたウェイキー、外にいたカイルとコバルトウィングに寄られ、窮屈な走りを強いられた。しかし、それをうまくかいくぐって4番手の位置を取り戻し、外に持ち出して直線へ。力強く脚を伸ばすと、ゴール手前でランリョウオーを捕らえ、3/4馬身差で重賞3連勝を飾った。

管理する渡邉和雄調教師は「暑さが一番の敵で、状態的にどうかと思っていましたが、併せ馬で追い切ったことで馬がピリッとして、それから一気に良くなりました。今日のパドックは、帰厩後で一番良く見えましたね」と会心の仕上げ。JBCクラシックJpnIの指定競走を勝ったことで、さらに視野が広がったが、「厩舎の後輩(同馬主で、南関東三冠馬のミックファイア)もいますから流動的です。うまく使い分けていきたい」とうれしい悩みを抱えることになった。ひとまず、ミックファイアがダービーグランプリ(10月1日、盛岡)でどんなパフォーマンスを示すかによって、先輩セイカメテオポリスの今後が決定される。

ランリョウオーは復調を示したかたちの2着。手綱をとった本橋孝太騎手は「久々にこの馬のペースで走れましたし、行きっぷりも良くなっていました。でも、ここまできたら勝ちたかった」と、復調の喜びと負けた悔しさが入り交じった表情で話した。昨年は休み明けで激走したダメージが尾を引いて、その後は本来の走りが見られなかったが、今年は完全復活、そして全国を舞台にした活躍を期待したいところ。

3着に食い込んだのはミヤギザオウ。中団から鋭く追い上げ、マンガンとの3着争いをハナ差で制した。休み明けで、馬場の傾向からも6番人気と伏兵扱いだったが、羽田盃を制しているうえ、大井記念でも4着と実績は上位。距離もこなせるタイプだけに、終わってみれば、この結果にも納得がいく。陣営は古馬になってからの活躍を見込んでいただけに、今後はさらなるパフォーマンスを見せるに違いない。

取材・文大貫師男

写真早川範雄(いちかんぽ)

Comment

吉原寛人騎手

返し馬の際にすごく実が入っていると感じました。3コーナーで窮屈になりましたが、最後までインにこだわって騎乗して、外に出したときは手応え抜群だったので、交わしてくれると思っていました。メテオポリスも重賞3連勝とミックファイアに続くことができたので、とてもうれしいです。

渡邉和雄調教師

ジョッキーには好きなように乗ってもらいましたが、理想通りの位置取りとレース運びでした。入厩当時から大きいレースをたくさん獲れる馬だと思っていましたが、今年になって一本、筋が入ったような感じがあります。ミックファイアと秋シーズンを盛り上げられたらと思っています。