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第8回西日本ダービー

3コーナー先頭から6馬身
  賞がたっぷり重賞7勝目

西日本地区6県の持ち回りで行われる西日本ダービーは、昨年第7回の園田から2周目に入り、佐賀は6年ぶり2度目の開催。今年の3歳戦線は各地で傑出した活躍馬が目立ったが、“ダービー馬”でここに出走してきたのは金沢のショウガタップリだけ。初遠征となった大井の黒潮盃ではデビュー以来初めての敗戦(6着)を喫したものの、三冠馬ミックファイアが不在でも今年の南関東はアメリカで善戦したマンダリンヒーローの存在など例年以上のレベルにあり、評価を落とすものではなかった。それゆえ専門紙にはズラリと◎が並んで単勝は1.3倍。ショウガタップリはその評価にこたえ圧倒的なレースぶりを見せた。

9月の声を聞いても気温30度超えで蒸し暑い鳥栖地方だったが、ピンポイント予報どおり午後5時頃には雷鳴とゲリラ的な雨。それでも西日本ダービーのパドックの頃には小康状態となり、馬場状態は変わらず良のまま。

名古屋のマジェスティックが競走除外となって11頭立て。ショウガタップリは大井遠征から約3週後という日程で、さらに遠距離の遠征。マイナス4キロの439キロは、デビュー以来最低の体重。それでもパドックでは落ち着いていた。

地元のアストライオスが内からハナを主張し、抜群のスタートを切った高知のストレリチアが2番手。ショウガタップリはすんなり3番手につけた。

ペースが落ち着いた1周目のスタンド前、2番人気の支持を受けた兵庫のグロリアドーロが動いて外からショウガタップリの前まで進出。向正面の中間ではさらにギアを上げて一気に前をとらえにかかったが、ストレリチアが抵抗。そのタイミングを待っていたかのように仕掛けたのがショウガタップリで、3コーナーで並ぶ間もなく先頭に立つと、徐々に後続との差を広げて直線独走となった。

能力の抜けた馬が圧勝すると、それを負かしにいった有力馬が失速して伏兵の台頭ということが往々にしてあるもの。6馬身差で2着に入ったのは最低人気のストレリチア。3歳になってからは自己条件を1勝したのみで、黒潮皐月賞11着という成績。「参加するだけと思っていた」という別府真司調教師は「満足!」と笑顔だった。

グロリアドーロの田中学騎手は、ショウガタップリを負かすには、先に行って粘り込むしかないと考えたのだろう。しかしその分、直線では脚が上がって2着馬から2馬身半差。うしろからブービー人気の笠松・オレンタノが迫ったが、これをなんとかハナ差でしのいで3着は確保した。

13戦12勝、重賞7勝目としたショウガタップリの吉原寛人騎手は、「(グロリアドーロに)まくられてもまだ仕掛けるには早いと思って一旦抑えていきましたが、3コーナーに入るあたりでアクションを起こすと反応してくれた」という好判断での圧勝でもあった。

管理する高橋俊之調教師は、「こんな馬には一生に一度、当たるか当たらないかだから、また遠征は考えてますよ。望みが高すぎるのかなと思いますけど、川崎の牝馬の重賞、ロジータ記念ですかね」と期待を語った。

なお吉原騎手は、佐賀の重賞はこれまで2着4回と勝ち切れないでいたが、ついに初勝利。現存する地方競馬(平地)の全場重賞制覇という史上初めての快挙へ、残るは姫路競馬場だけとなった。

取材・文斎藤修

写真桂伸也(いちかんぽ)、NAR

Comment

吉原寛人騎手

大井への長距離輸送もこなしてくれてたので、自信をもってこの佐賀を選択しましたが、いい状態で当日を迎えられたので、それが勝因だと思います。揉まれずに行ける外枠を引いたし、力を出し切ってくれたら結果は出ると思っていたので、そのとおり動いてくれてよかったです。馬のメンタルの強さに脱帽です。

高橋俊之調教師

大井で揉まれたぶん強くなって、その反動もなかったですね。12~3時間の輸送で馬体重マイナス4キロは上出来だと思います。吉原君が遊びながら乗っているような感じだったので安心して見られました。がんばっているのはジョッキーと厩務員なので、みんなの意見を聞きながらやっていきたいと思います。