直線半ば先頭で粘り込む
転入2連勝で重賞制覇
船橋競馬場がオーストラリアの砂に切り替えたのは、昨年11月28日の開催から。月1回開催のペースで、新砂になって10カ月が経過したが、馬場状態が“重”もしくは“不良”になったことは1度もない。また、水分を含んだ時、それまでのイメージを覆すような時計を要す馬場になると関係者に聞いていた。ホッカイドウ競馬は、今年の開催からオーストラリアの砂に替わった。4月13日の能力検査から、新砂での試走を含めて本走路で行われた。船橋を参考に、砂厚は約11センチと例年より1センチほど薄くして行われたが、意外と時計が速く、船橋のイメージとは違う印象を受けた。翌週の19日に開幕を迎えたが、馬場状態は“重”スタート。26日は雨が降り続き、1レースから“不良”で行われた。この段階で、船橋と同じ砂で行われている感覚はなくなった上に、水分を含めば今まで通り時計は速くなる傾向が続いた。
今年のホッカイドウ競馬は、“不良”で行われた開催日は3日あり、いずれも1日を通して変更がない状況。天気が良くなれば、馬場の回復も進むと思っていたが、意外とそうでもない。ただ、雨が止んだ後の馬場は、同じ“不良”でも時計はかかっている。
この日のスケジュールは、10レースがA4下、11レースはA1下、12レースがウポポイオータムスプリントで1200メートル戦が続いた。雨中の10、11レースはともに、勝ち時計が1分13秒2。重賞のメンバーなら、1分12秒前後の決着が想定された。
外枠からスティールルージュが先手を主張し、3馬身半離れた2番手をケイアイターコイズが追走。3番手以下は集団となり、その中に連覇を狙うスティールペガサスや、昨年の東京盃JpnIIで4着に健闘したスマートダンディーらがいた。一昨年の勝ち馬であるジャスパーシャインは、普段通りの最後方だったが、3ハロン地点で先頭から3秒1も離されていたので、馬場状態を考えると、正直厳しい位置に感じた。個人的に採ったレースラップは、12.2-11.3-11.7-12.1-12.8-13.6。11レースのラップは、12.3-11.2-11.8-12.0-12.5-13.4だったので、前半3ハロンがあまり変わらない状況で、直線の攻防で重賞の方が脚が上がってしまっていた。これが、オーストラリアの砂を「特徴をつかむのが難しい」と関係者が口を揃える理由である。
勝ったケイアイターコイズは、前走の転入初戦に続いて連勝で重賞Vを飾った。昨年の東京盃JpnIIで先着を許したスマートダンディーが、ホッカイドウ競馬に転入後、グランシャリオ門別スプリント3着、クラスターカップJpnIII・6着と、スティールペガサスに次ぐ結果を残している。その比較から、馬場を苦にしなければ、重賞での健闘は約束された。手探りの状況で迎えた転入初戦は「正直6、7分の状態」と安田武広調教師は話していたが、馬体が6キロでも絞れて確実な上昇カーブを描いていた。先を見据えた状態でのタイトル奪取は大きい。
昨年の覇者で、ホッカイドウ競馬のスプリント界を牽引しているスティールペガサスは今回、猛暑が続いた影響で本来の走りが見られなかった(5着)。クビ差2着まで迫ったジャスパーシャインも惜敗が続いている。ウポポイオータムスプリントの歴代優勝馬たちにはもちろん、道営スプリントでの巻き返しが期待される。今年で4回と歴史は浅いものの、ケイアイターコイズを含めた優勝馬たちの再戦が楽しみだ。
取材・文古谷剛彦
写真浅野一行(いちかんぽ)
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安田武広調教師
前走が7分ぐらいの状態。今回もピーク手前ですが、ジョッキーと相談しながら調整し、良い状態で挑めたと思います。これだけの実績馬に携わらせて頂き、責任は感じつつも楽しみが広がります。最大目標は道営スプリントですが、その前に1走挟むことを考えており、状態を見ながら決めたいと思います。






石川倭騎手
前走が転入初戦で仕上がっていない感じでしたが、今回は素軽さが増していたことから自信を持って挑めました。外から蹄音が聞こえ、脚色が違っていたので、最後は目をつぶって必死に追いました(笑)。JRAでの実績から、責任を持って調教から携わっていますので、重賞を勝つことができてホッとしています。