経験少ない距離を逃げ切る
好調9歳馬が重賞初制覇
高知競馬の新旧年度代表馬が集った珊瑚冠賞。令和3年の年度代表馬に輝いたスペルマロンは復調気配の中、調教師に転身した主戦・倉兼育康騎手に代わり畑中信司騎手がコンビ2戦目、令和4年の年度代表馬ガルボマンボも今年4月の二十四万石賞以来の復権を目指した。ところが、勝ったのはグッドヒューマー。短距離での逃げ切りが印象的な快足馬が、1900メートルで重賞初制覇を果たした。
戦前の人気はガルボマンボを中心に、それを追いかける3頭という構図だった。その3頭は前述のスペルマロンのほかに新興勢力のジョウショーリードとグッドヒューマー。前者は高知に来て10戦全てで3着以内を外したことのない安定感に加え、前走のA-1選抜を快勝し、重賞の舞台でも期待が寄せられた。
そして、同じく新星として期待されたのがグッドヒューマーだった。スピード豊富な馬で、逃げてトレノ賞3着、建依別賞2着と重賞制覇まであと一歩と迫っていた。
短距離だったその2走同様、1900メートル戦のここもグッドヒューマーがダッシュをつけて先手を取った。そこにピタリと馬体を併せてきたのはジョウショーリード。2頭が引っ張るペースは前半600メートル38秒2でよどみなく流れ、2周目の3コーナー手前では3番手以下を8馬身以上離していく。ガルボマンボとスペルマロンは依然、中団のまま。4コーナーでは食い下がるジョウショーリードと、4番手から脚を伸ばすアヴァンセを尻目に、グッドヒューマーが抜け出して勝利を収めた。2馬身差の2着にアヴァンセ、3馬身差3着がジョウショーリードだった。
「この馬とタイトルを獲れて、泣きそうでした」と喜んだ宮川実騎手。グッドヒューマーは2021年11月の移籍初戦から条件戦で9連勝。その後、二度の休養を挟みながら高知で初タイトルを手にした。
「今回、休養から帰ってきて状態がずっと良くて、年齢的にもタイトルを獲るならここしかないと思っていました」
打越勇児調教師は翌日からの北海道セプテンバーセールのため不在だったが、昨年、重賞4勝を挙げた打越厩舎・宮川騎手のコンビにとっても今年の初タイトルだった。
2着アヴァンセは骨折で長く休んでいたが、永森大智騎手は「徐々にいい頃に戻ってきています。力のある馬です」と今後に期待を寄せた。そして積極果敢に運んだジョウショーリードの岡村卓弥騎手は「外枠を引いて、2番手外に行くしかありませんでした。いつも勝負所はズブいタイプで、内枠の方が競馬がしやすい馬です」と悔やんだ。
ガルボマンボは6着。神岡賢太郎オーナーが病気のため逝去されたことがこの日、公表され、林謙佑騎手も「オーナーのためにも頑張らないと、と思って挑んだんですけど、追い出してから全く反応がありませんでした」と肩を落とした。近走で見られた外に張る面などはなかったようだが、「なかなか状態が戻ってきません」と話した。
また、スペルマロンは7着で、「1周目のスタンド前で『終わった……』と思いました」と畑中信司騎手。かねてより抱えていた気性面の難しさが出てしまったようだ。
当レースはJBCクラシックJpnI指定競走となっているが、グッドヒューマーは2400メートルの高知県知事賞で昨年、最下位に敗れているように長い距離は不向き。打越調教師によると、距離延長となるJBCクラシックJpnIへは向かわずに、適距離でさらなるタイトル奪取を目指すとのことだ。
取材・文大恵陽子
写真桂伸也(いちかんぽ)






宮川実騎手
スタートを決めて逃げたいと思っていました。2番手の馬を意識しすぎず、この馬のリズムを大切にしました。最近は1400メートルで逃げるキツいレースをしていたので、リズム的にはいつもより楽でしたが、1900メートルという距離の分、直線は脚が上がりました。それでも最後までよく踏ん張ってくれました。