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第34回テレ玉杯オーバルスプリントJpnIII

2歳王者が成長見せる
  スマイルウィは2着惜敗

良馬場でスタートしたこの日の浦和競馬だったが、夕刻より豪雨に見舞われ、第9レースで一気に重に、第10レースでは不良に変更された。浦和での急激な雨で思い出されるのは、当時9月開催だった1999年のさきたま杯GIII。もともと高速だった馬場に豪雨が重なり、セタノキングがレコードを樹立した。記者席ではテセウスフリーゼ、エフテーサッチといった懐かしい馬名とともに、ひととき昔話に花が咲いた。

そんななかで繰り広げられた一戦。1番人気には全日本2歳優駿JpnIを制し、今年のフェブラリーステークスGIでも4着に健闘したドライスタウトが推された。デビューから8戦して5着以下がない好素材。かきつばた記念JpnIII(2着)以来の実戦でも、地力上位と見られた。船橋のスマイルウィはさきたま杯JpnII・2着の実績と、抜群の安定感が買われて2番人気。地方のダートグレードで好走を続けるオーロラテソーロが3番人気で続き、三つ巴の評価でスタートを迎えた。

ラプタスが内枠を利して先手を奪うと、その直後にスマイルウィ、さらにその外にドライスタウト。少し離れた4、5番手でオーロラテソーロが機をうかがう展開となった。先行する3頭はスムーズに折り合い、隊列に変化がないまま勝負どころを迎えた。

逃げ粘るラプタスに、スマイルウィとドライスタウトが襲い掛かり、直線の入口ではスマイルウィが単独先頭。懸命に押し切りを図るところへ、脚いろ良く伸びたのがドライスタウトだった。残り100メートルで外からスマイルウィを交わすと、3/4馬身差をつけてゴールを駆け抜けた。

ドライスタウトは全日本2歳優駿JpnI以来の重賞2勝目。惜しいレースが続いていたが、休み明けのここを勝ち切った。このレース5勝目となった戸崎圭太騎手も「勝ち切ることができていなかったので、久しぶりに勝ててうれしいです」と声を弾ませ、牧浦充徳調教師も「夏負けがあって万全とは言い切れなかったですし、大型馬で小回りもどうかと思っていました。それでも勝ち切ってくれて、今後の選択肢が広がりました」と笑顔。次走はマイルチャンピオンシップ南部杯JpnIや武蔵野ステークスGIIIなどを視野に入れ、状態を見ながら決定されるとのこと。4歳の夏を越えてパワーアップした姿を、各地で見ることができそうだ。

スマイルウィもよく食い下がって2着。吉原寛人騎手は「イメージ通りのかたちでしたけどね。いつもなら勝負どころから突き放しにかかるけど、ハミをとらないまま3~4コーナーに入ってしまって、他馬を離し切れなかったです。(不良)馬場を気にしたのかもしれません」と首を傾げた。それでも2着なら上々の結果。ダートグレードタイトルは、すぐそこにある。

今回の勝ち時計は1分25秒7。レコードタイムが出そうな予感もあったが、もともと力の要る馬場だったこともあり、極端に時計が速くなることはなかった。とはいえ3着のオーロラテソーロまで、実力通りの走りを見せて決着。今後の短距離~マイル路線を見通せる一戦となった。

取材・文大貫師男

写真宮原政典(いちかんぽ)

Comment

戸崎圭太騎手

能力があるのは分かっていたので、リズム良く行ければいいなと思って、その点だけ気をつけていました。イメージ通りに行けたかなと思います。手応えが良かったので、しっかり交わしてくれるだろうと思って追っていました。また勢いに乗って、いい走りを見せてくれると思います。

牧浦充徳調教師

突然の雨で、こういう(不良)馬場になったので、ジョッキーとはある程度、前めで積極的に走れればと話していました。3頭目の外で運ぶかたちになりましたが、最後までしっかり脚を使ってくれました。小回りでもしっかり勝ち切ってくれたので、選択肢が広がりましたね。もっと活躍できる馬です。