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第25回園田プリンセスカップ

2番手から直線突き放す
  GDJ2歳女王へ好発進

今年のグランダム・ジャパン2歳シーズンの初戦となる園田プリンセスカップは9頭立て。そのうち4頭は北海道からの遠征馬で、大井からも1頭が参戦。昨年1、2着だった地元馬には少々厳しい顔ぶれとなった。

その要因のひとつには、8月10日に行われた兵庫ジュベナイルカップで2着と3着に入った牝馬がどちらも不在になってしまったことが挙げられる

そうなると遠征馬が優勢になるのは当然で、締め切り10分前あたりでは北海道のジュデシャンスが単勝1倍台だったが、最終的には大井のフォルトリアンが2.1倍で1番人気になった。4戦連続連対中の近況に加え、“重賞請負人”となった感がある金沢の吉原寛人騎手起用が評価されたのかもしれない。ジュデシャンスは逆転される形で2番人気になったが、それでも2.7倍。こちらも目下地方全国リーディングの吉村智洋騎手が信頼度を高めた形だ。

続く3番人気は連勝中の勢いがある北海道のコモリリーガルで4.5倍。北海道リーディングの田中淳司厩舎のシトラルテミニ、ラブミーテキーラは10倍台でレースを迎えた。

しかしながらこの重賞は、過去10年で1番人気馬が4勝、2着1回と成績的にいまひとつ。それはキャリアが少ない2歳戦で、また遠征馬が多いことで出走馬の力量比較がしにくいため、人気が人気を呼ぶ形になりがちだからだろう。

その点で、ジュデシャンスは「砂をかぶるとあまりよくないと聞いていました」(吉村騎手)というのが心配材料。それが頭にあったのか、ゲートが開くと最内枠から積極的に動いて先手を取った。

同じように先行策を取ったのはコモリリーガル、インタールード、ラブミーテキーラの外枠3頭。フォルトリアンはその4頭の直後につけてレースを進めた。

1コーナーに入るとジュデシャンス、コモリリーガルが並走する形。3コーナーに入ってもその状況は続いたが、遠くから見ても外を回るコモリリーガルの手応えが上だった。

最後の直線に入るとコモリリーガルが一気に加速して3連勝を達成。ゴール手前では中団追走から差を詰めてきたシトラルテミニに迫られたが、コモリリーガル鞍上の下原理騎手の手綱には余裕があった。

2馬身差で2着の田中学騎手は「返し馬の感触からスタートに集中した影響で、後手に回る形になってしまいました」と振り返った。先手を取ったジュデシャンスは10馬身差で3着。吉村騎手は「現時点での力の差だと思います」とコメント。

4着には地元のグレートメモリーズが入り、フォルトリアンは5着。吉原騎手は「園田の砂が合わない感じがしました」と敗因を分析し、市村誠調教師は「もまれる競馬は今回が初めてというのは確かですが、全体的に力を出し切れなかった感じがしますね。グランダムのポイントを狙うかどうか、改めて考えます」とコメントを残した。

勝ったコモリリーガルはグランダム・ジャパンの優勝を狙う方針。臨場した子守貴久オーナーは「次は(門別の)エーデルワイス賞か(盛岡の)プリンセスカップのどちらかだと思います。これから先生(米川昇調教師)と相談します」と笑顔を見せた。

取材・文浅野靖典

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

下原理騎手

道中は行きたがる面を見せていましたが、なんとか抑えることができました。それほど促していないのですが、最後の直線で抜け出したあとも、差し馬が来ても大丈夫というくらいの手応えが残っていました。ゴール手前では少し気を抜く面もありましたからね。これからかなり活躍できる素材だと思います。

佐藤智之厩務員

北海道の4頭で一緒に来て、前日の昼すぎの到着後も落ち着いていました。私はこの馬の母も担当したことがあって、母は短距離タイプ。その点で距離とコーナー4つの競馬がどうかと心配していました。でも大丈夫でしたね。2走前から逃げられるようになったことで、さらに良さが出てきたように思います。